【BOYAMIC 試用レビュー】完全に想像以上の良い2.4Ghz帯ワイヤレスマイク

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2.4Ghz帯のワイヤレスマイクは信用できない。ワイヤレスマイクはB帯一択。
安いマイクは音質も安定性も満足のいく性能に達していない。

長らくそう思っていた。しかし今回BOYAMICを提供してもらい使ってみたところその考えは吹き飛んだ。

周波数帯の特性を注意しておく必要はあるが、こと『音質』に関しては10万円のB帯マイクとほぼ遜色ないという印象になった。

そんな今までの考えを壊してくれた想像以上の性能のマイクはBOYAからリリースされているBOYAMICだ。

今回は株式会社アーキサイトからBOYAMICを提供してもらったので詳しくレビューしていきたいと思う。

結論:この良さは完全に想像以上

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以前2.4Ghz帯のマイクはSYNCO G2A2をレビューした。
その時は『安いけどホワイトノイズも多いし実用的ではない』という印象だった。

【購入レビュー】Synco G2(A2) ワイヤレスマイクレビュー

2021年7月28日

今回使ったBOYAMICは全くそんなことは無かった。

個人的に付属のラベリアマイクはあまり良くないと感じたが、本体のマイク性能はB帯のマイクUTX-b40に匹敵すると感じられる。

マイク音質比較

まずは音を聞いてもらった方が早い。
今回用意したサンプルは下記の通り。まずはブラインドテストでどの音源がどの収録方法か分かるだろうか。

  1. UTX-b40
  2. BOYAMIC ビルトインマイク
  3. BOYAMIC ラベリアマイク
  4. BOYAMIC ビルトインマイク 内部録音
  5. BOYAMIC ラベリアマイク 内部録音

今回収録した環境は横浜 みなとみらいの海沿い臨港パークだ。
ノイズキャンセリングの性能も見ておきたかったのと、電波の安定性も確認しておきたかった為、あえて厳しい環境を選択している。

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波打ち際ということもあり、割と騒音が多い状況となっていることを理解しておいてほしい。

【マイク01】

【マイク02】

【マイク03】

【マイク04】

【マイク05】

どうだろうか?音の種類としては【UTX-b40】【BOYAMIC ビルトインマイク】【BOYAMIC ラベリアマイク】の3種類だと言える。

個人的に1つ明らかに良くない音があることは聞き分けられたが、残り2つに関してはほぼ大差ない印象だ。
それでは答え合わせをした状況で聞いてもらおう。

【マイク01 UTX-B40】

【マイク02 BOYAMIC Built in MIC】

【マイク03 BOYAMIC Built in MIC on board record】

【マイク04 BOYAMIC Rabelia Mic】

【マイク05 BOYAMIC Rabelia Mic on board record】

音は割と人の好みによって良し悪しは変わると思っている。各々好みの音(マイク)があるだろう。

今回のテストに限って言えば、やはり一番好みの音質はUTX-B40だ。そして僅差でBOYAMIC Built in MICという印象だ。

この2つは個人的にはかなり僅差で、一つだけ音を聞かされてどちらか当てろと言われても当てられる気がしない。

少し離れてBOYAMIC Rabelia Micという順位だ。これはBOYAMICというよりラベリアマイクの性能に依存度が高いのだろう。つまり性能が良いラベリアマイクを接続すればその分音質も上がる可能性はある。

BOYAMICの詳細

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製品名 BOYAMIC
周波数 2.4Ghz
接続マイク数 2
バッテリー持続時間
(送信機)
約6時間(内部収録有り)
約10時間(内部収録無し)
内蔵メモリ 8GB
収録フォーマット .WAV
バッテリー持続時間
(受信機)
約11時間
USBインターフェース 2.0(おそらく)
執筆時販売価格 ¥28,159

BOYAMICの基本的なスペックは上記の通り。
概ね他社の2.4Ghz帯のワイヤレスマイクと似たようなスペックだ。

最近流行りの32bit floatには対応していないので購入時には注意しよう。

BOYAMICの外観

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この手のマイクにはよくありがちな多数の同梱物。
専用のポーチが同梱されている製品は初めてのパターンだった。

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チャージングケースの中には送信機2機と受信機、そしてLightning端子とUSB-C端子の端末に接続するためのアダプターが格納されている。

このチャージングケースは1800mAhのバッテリー容量を搭載しており、送信機受信機の1.2回分の使用量をカバーすることができる。

ケースに1.5時間(約1時間半)収納しておけば勝手にフル充電となる。
送信機受信機共に10時間ほどは駆動できるが、それ以上使用したい場合は一度ケースに入れて充電をする必要がある。

セミナーでも10時間ぶっ通しで使うことが無いだろうから、途中途中休憩時間でこまめに充電しておけば実使用上はほぼ問題無いだろう。

BOYAMIC チャージングケースの詳細

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まずはチャージングケースを詳しく見ていく。
チャージングケース正面には丸いLEDが4つ存在するが、これはバッテリーの残量を示している。

恐らくだが、0~25%/25~50%/50~75%/75~100%の4段階だと想定される。

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チャージングケース背面にはUSB-Cポートが存在し、チャージングケース本体の充電をここからおこなう。

データ転送には対応していないので、マイクを収納した状態でPCに接続してもデータを吸い出すことはできない。

マイク本体に収録したデータを吸い出したい場合は、マイク本体をPCに直接接続する必要がある。

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チャージングケースは意外と重く、ケースだけで190gある。
iPhone 16 Plusが199gであることを考えると、少し大きめのスマートフォン1つ分の重量くらいのイメージだ。

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各種マイクを収納した状態だと更に重量は増し、300g近い重量となる。ちょっとした缶ジュース1本分くらいの重量だ。

BOYAMIC 受信機の詳細

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次にBOYAMICの受信機・送信機を詳しく見ていく。
まずは受信機から見ていこう。

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前面にステータスを表示する液晶ディスプレイ。後面には充電用のUSB-Cポートと電子接点。
中央はスマートフォンに接続する為の端子をカバーしている。

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スマートフォン接続用のカバーはスライドで外すことができる。
そして専用のアダプターもスライドで接続することができる。

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スマートフォンをメインで使用する人はこのアダプターをつけっぱなしになると思うが、アダプターを接続した状態でチャージングケースに収納できるので安心して欲しい。

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LED液晶画面を正面とした場合、右側面には電源ボタンとメニュー設定ボタン、左側面にはモニター用ヘッドホンアウトとTRSのLINEアウトがある。

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受信機正面の液晶には各種設定や情報が表示される。
メニュー設定ボタン(Mボタン)を単押しで項目や数値が次へ移動する、やや長押しで選択中の項目が編集可能になったり編集中の項目が確定する。
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受信機底面にはクリップがあり、カメラのコールドシューの規格に適合している。

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ただこのクリップは咬合力はある程度あるもののカメラの上に乗せるには若干不安感があることは否めない。

本体は軽いため本体の重量で自然に落ちてしまうことは無いだろうが、カメラを振り回す様なラン&ガンスタイルの撮影では少し不安な感じもある。

BOYAMIC 送信機の詳細

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送信機はマイクを兼ねていてよくある形状だ。RØDEなどのマイクに比べると若干長方形で大きさはある印象だ。

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送信機の重量は約25g。胸元につけても重いと感じるような重量では無かった。

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マイクを止める方法は2種類。クリップと最近流行りの磁石だ。
シャツやジャケットと違い冬場のセーターなど首元に掛ける場所が無い服の場合は磁石は便利だ。

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送信機側面には充電・データ転送用USBと入力モードの切り替えボタン。ノイズキャンセリングON/OFFボタン、録画ON/OFFボタンがある。

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受信機とペアリングが完了すると送信機のインジケーターがブルーに点灯する。
ノイズキャンセリングがONになっているとインジケーターはグリーンに点灯する。
そして、オンボード録画中の場合は隣のインジケーターがレッドに点灯する。

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最近は送信機本体にLEDを搭載しているマイクを使っている人が多くいる。

個人的には胸元にLEDが点灯しているのは撮影の邪魔になるし目立ってしまう様な印象があり苦手だ。

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送信機上面にはビルトインマイクとラベリアマイク接続用の3.5mmジャックがある。
ビルトインマイクにはウィンドジャマー接続用の溝が掘ってあり、ウィンドジャマー側にもある突起を合わせることで固定できる。

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よくあるのがこのウィンドジャマーがすぐ外れてしまうという問題だ。
BOYAMICに限ってはそこまで抜けやすいということは無かった。

ウィンドジャマーを持った状態でマイクを振っても落ちることは無かった。
しかし、ウィンドジャマーをつけること自体に苦戦した。

BOYAMICとスマホ接続

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このBOYAMICは受信機にアダプターを接続することでスマートフォンに接続できる。

個人的にはスマートフォンに接続して使用することは無い。
アダプターはUSB-CとLightningの両方を用意してくれているのでどの端末にも対応できるだろう。

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しかもこのBOYAMICはMade for iPhone(MFi)認証を受けている。
ちゃんとiOS端末でも使用できることが保証されているのはiOSユーザーにとっては心強いだろう。

BOYAMICの良いところ悪いところ

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今回とある案件で、会場のワイヤレスマイクがB帯を使っており普段使用しているB帯マイク、URX-P03D + UTX-B40の組合せを使うことができなかった。

元々音声を録る必要は無かったのだが、せっかくならと今回提供してもらったBOYAMICを使用してみた。
実際に使ってみて感じた良いところと悪いところを挙げていきたいと思う。

悪かったところ1:マイクがネジ式ではない

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送信機とマイクが一体となっているタイプは、マイク自体のインジケーターが目立ってしまったり、ビルトインマイクの音質がイマイチだったりしてラベリアマイクを使いたくなることが多い。

このBOYAMICに関してはラベリアマイクの性能がイマイチなので本体マイクを使うことになるだろうが、それだとしてもLEDインジケーターの露出は気になる。

そうなるとラベリアマイクを使いたいのだが、送信機とラベリアマイクの接続がネジ式ではないので引っ張ったらすぐ抜けてしまう。

実使用上で抜けたことは今のところ無いが、幾度となくUTX-B40の送信機を落とされてきた身としてはそれでもマイクが抜けないネジ式の方が信頼性を感じてしまう。

悪かったところ2:データの抽出方法と速度

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BOYAMICは送信機でのビルトイン録画にも対応はしている。
ただそのデータの抽出方法が、送信機本体とPCを接続するほか無い。

チャージングケースのUSB-CとPCを繋げて収録したデータを抽出できたら良いのだがそれもできない。

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そして送信機とPCを繋げてデータを抽出するのだが、恐らくUSB2.0 インターフェースでこの時のデータ転送速度が非常に遅い。

WAVファイルなので比較的リッチなフォーマットで収録されるため最低USB3.0であって欲しかったところだ。

悪かったところ3:ウィンドジャマーが付けづらい

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これは良いところと表裏一体なのだが、ビルトインマイクに接続するウィンドジャマーの取付が難しいことだ。

前述した通り本体の溝とウィンドジャマー側の突起を合わせて押し込むことでしっかり固定される。

この固定力が強いことは確実にメリットになる。しかしその影響でそもそも付けづらいという印象だ。

一度付けてしまえば以降つけっぱなしでチャージングケースに収納できるというわけでもない。

外れにくさと付けやすさを両立するのは少し難しいのかもしれない。

悪かったところ4:タイムコード非対応

この価格帯でこの機能を求めるのは酷かもしれないが、オンボード録画のデータにタイムコードは対応していない。

タイムコードに対応していれば別録りした音声データと映像データの同期が容易になる。

編集することを前提で考えるとこの機能は欲しいところだが価格帯を考えると致し方ないのかもしれない。

良かったところ1:音質が普通に良い

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最初にも言ったが以前レビューしたSYNCO G2A2とは違い非常に進化していると感じた。

UTX-B40とそこまで遜色無いレベルの音質だと感じている。
予想通りノイズキャンセリングをONにしてしまうと音声の劣化が激しいので、基本はOFFにしておくべきだと思うがその状態であれば十分満足できる音質だ。

撮影会場の都合でB帯マイクが使えない場合でも実戦投入できるレベルだと感じる。

良かったところ2:L字のTRSケーブル

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これは個人的な都合であるが、BOYAMICとカメラを接続する時にTRSケーブルがL字に折れ曲がっているのが非常に便利だ。

使う可能性があるカメラはCanon EOS R5 Cなのだが、TRSケーブルがストレートの場合は横に大きくはみ出てしまう。

BOYAMICのTRSケーブルは根本がL字に折れ曲がっているので、あまり横に飛び出ずに済む。

万が一何かに引っかかってケーブルが折れてしまうリスクを下げられるこの形状が非常にありがたい。

32bit floatが不必要なら“買い”

最近はこういった2.4Ghz帯のマイクでは32bit floatが一般的だ。
このBOYAMICは32bit floatに対応はしていないが、オンボード録画には対応している。

カメラへの入力はあえてレベルを低くして、オンボード録画では通常通りのレベルで録画という様な使い方もできる。

また実際にテストしたわけではないが、バッテリー持続時間も約10時間と長時間駆動を実現している。

電池式ではないので、UTX-B40のように単三電池を交換すればすぐ満充電というような運用はできないが、長時間になりそうなのであればこまめに充電しておくことを意識すれば問題なく運用できるだろう。

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