およそ1年間Canon EOS R5を使ってきた。
主な撮影目的は動画。たまに趣味で写真を撮るくらい。
以前動画機としてEOS R5をレビューしてみる。という記事を書いた。
ただ、この記事はレビュー記事というより不満点を挙げただけの記事になっていたので改めてCanon EOS R5のレビュー記事を詳しく書こうと思う。
主な用途は結局動画になるため、動画周りの性能や使い勝手に関する内容がほとんどだが、ミラーレス一眼で初めて8K RAWを撮影できるようになったEOS R5は、動画用途として持っている人も多いと思うから参考になれば幸いだ。
またEOS R5のファームウェアは執筆時点で最新版の1.6.0以前の内容になる。
1.6.0にアップデート後の使用感は改めて追記したいと思う。
EOS R5を1年半使って良かったところ悪かったところ、そしてオススメできる人オススメできない人を考察していきたいと思う。
なお既に今回のファームウェア1.6.0がリリースされたことによりEOS R5 Mark II(仮)の噂が出ている。悪いところとして挙げている部分は改善して欲しいところである。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
現在のEOS R5の使い方
まず前提として僕がEOS R5をどんな用途で使用しているかを伝えておきたいと思う。
同じような用途の人がいるかは分からないが、なるべく自分の用途のみにこだわらないようなレビューをしていきたいと思う。
写真機としての用途
僕の主な業務内容としてはムービーとなる。そのため写真は趣味領域で本格的な業務として使ってはいない。予めご了承いただきたい。
では、趣味程度ではあるがEOS R5では人物撮影から風景撮影まで自分が撮りたいと思ったものは特にこだわりなく撮るようにしている。
最近では東京ディズニーランドに行く機会が増え、ディズニーキャラクターの撮影やパレードの撮影など、動きもの(と言える程激しい動きではないもの)も撮る機会は増えてきている。
【画像をクリックで元サイズ表示】
※容量が32MBありますのでご注意ください
動画機としての用途
EOS R5の主な用途としては動画となる。
ただしEOS R5は最長録画時間が29分59秒のため長尺の撮影ではなく、ネット広告用の動画や自社サービス宣伝のためのPV撮影などが多い。
ワンカットワンカットを決めて1つ1つのフッテージ事態は短い尺でそれを繋げるような撮影に用いることが多い。
また、インタビュー撮影にも使うことが多いが、インタビューで長回しになりそうな時は外部収録機器(NINJA VやShogun7)を用いて外部収録を行うときもある。
2021年以降の僕のYouTube動画はほぼ全てEOS R5で撮影している。音質がコロコロ変わっているがこれは外部収録機器による違いだ。
基本的に自分で自分を撮るときはSenheiser(ゼンハイザー)のe935といいうダイナミックマイクを使って撮影するようにしているが、環境が変わって仕方なくSenheiser(ゼンハイザー)のMKE600で収録している場合もある。
ロマンがいっぱいつまった8K RAW撮影も何度かおこなっているので画質が気になる人は見て欲しい。
とはいえ夜の撮影だからISOが若干高く撮影されている点はご了承いただきたい。
この動画はSS:1/50 F2.8 ISO:2000で撮影した8K RAW動画だ。
この動画はSS:1/50 F2.8 ISO:1600で撮影した8K RAW動画だ。
EOS R5の悪いところ
まず始めにEOS R5を1年使ってて感じた悪いところを一気に挙げていきたいと思う。
個人的にはこれらが非常に使いにくいと感じる部分ではあるが、ここがさほど気にならない人であればEOS R5は非常に良い機種なので購入をお勧めする。
悪いところ1.連続動画撮影時間29分59秒
そもそもこれは分かってて買っただろう。と突っ込まれると思うが、やはりこれは未だに気になっている。
EOS R5が発売される時点で各社のミラーレスカメラは動画の連続撮影30分制限を撤廃している機種が多かった。SONYなどは数年前から新発売の機種に関しては早い段階で撤廃している。
SONYにもシネマラインはあるのだが、CanonはCinema EOSを買わせたかったのか頑なに30分制限を撤廃しなかった。
2022年8月現在EOS R3を始め新発売のAPS-C機についても30分制限は廃止されているので、EOS R5 Mark IIでは撤廃されるであろうことが予想される。
ディズニーランド エレクトリカルパレードは通常になったら30分を超える(らしい)。
現時点ではオーバーサンプリング4Kでも29分59秒が撮影上限のため最初から最後まで撮影できなくなってしまう。
そうなった場合最初から最後までEOS R5では撮影することができない。趣味領域であるためあまり強く言えない所でもある。
悪いところ2.Micro HDMI端子
EOSシリーズは長らくHDMI端子をMicroかMiniを採用してきた。
Cinema EOSだけフルサイズのHDMI(タイプA)を採用している。
EOS R5はNINJA V+と組み合わせることで8K RAWを外部収録することができる。
HDMIを使うことも想定して設計されているとは思うのだが、そのHDMI端子がMicroというのいただけない。
事実、僕はMicro HDMI端子を既に5個近く破損させている。単純に端子が小さいので折れやすいのだ。
Micro HDMIを採用して端子を小型化することによるメリットも当然あるとは思うが実用上Micro HDMIは不便なことが多い。
悪いところ3.動画撮影水準器が非表示になる
静止画撮影時、EOS Rの時は顔認識AFにしていると水準器が非表示になっていた。
EOS R5では顔認識AFにしていても水準器が表示されるようになった。ただしこれは静止画撮影時の話だ。
動画撮影時は録画開始前までは常時表示されているが、録画を開始した途端その情報が全て消える。
確かに三脚に立てて撮影しワークする場合は一番最初さえ水平が取れていれば撮影開始後は水平がズレることはない。
しかしそれは三脚に立ててて要る場合に限る。手持ち撮影ではそうはいかない。
手持ち撮影の時はいつどのタイミングで自分が水平を外しているかを常時確認したい。故に水準器は撮影を開始しても消えない仕様の方が明らかに良い。
その点別途所有しているLumix機は常時表示されている。ユーザーが非表示にしたい場合はDISP.ボタンを押すことで任意に表示・非表示を選択できる仕様だ。
ぜひこの仕様を見習って欲しい。というかこの仕様でないと手持ちで動画撮影をすることすら難し。僕はコールドシューに別途水準器を付けることでなるべく水平を維持しようとしている。
悪いところ4.音声レベルが見えない
EOS R5は音声の入力が【オート】と【マニュアル】の2つの制御があるのだが【オート】に設定していると背面ディスプレイにオーディオメーターが表示されない。
オートだからユーザーができることは何も無く表示する必要ないよね。という意味なのかもしれないが、外部入力するマイクの電池が切れてないか?音声がちゃんと録れているか?の確認用にもメーターだけは表示して欲しい。
イヤホンを付けてモニタリングしろ。ということでもあるのかもしれないがイヤホンを付けられない環境ももしかしたらあるかもしれない。
そういった場合は視覚的に確認するしかないためちゃんと録れているかどうかの確認用に表示だけでもできるようにしてもらいたい。
悪いところ5.背面サブ電子ダイヤルが押せない
非常にマニアックな内容になってしまうが個人的に1年使っていても未だに気になっている点ではある。
ボディ背面に搭載されているサブ電子ダイヤルは押し込めない仕様になっている。
クルクルと回転させることができるだけで、上下左右がボタンになっているわけではない。
メニュー操作や再生を行っている時に、幾度となくここは押し込めた方が良いだろう。と感じる。
実際にLumix機は回転もできるし押し込むこともできる。
ここを押し込めない仕様にしたことによるメリットははっきり言って分からない。他者ができているのだからEOS R5でもできるようにして欲しい。
というか6D Mark IIなどでは回転もできるし押し込むこともできるのだからできるだろ…。
悪いところ6.高画質撮影モードの不安定さ
小さい筐体に高画素・高画質の撮影モードを搭載してくれたのは非常にありがたい。
しかし8K RAWもオーバーサンプリング4Kもどちらも撮影時間が徐々に短くなってしまうのが非常に不安である。
いつ撮影が止まるかわからない。という状況では業務で使うのに憚られる。EOS R5 Cではファンを搭載したのにもかかわらず数十グラムの増量で済ませている。(ボディ内手ぶれ補正を無くしているが)
もうファンを搭載しても数十グラムの増量で済むのであれば、EOS R5 Mark IIでも搭載してくれ。
悪いところ7.マルチアクセサリーシュー非対応
これは発売時期的に仕方ないことなのかもしれないがEOS R3やR7 R10で対応し始めているマルチアクセサリーシューに対応していないのが残念なポイントだ。
GH5以降はDMW-XLR1というXLR端子を搭載したアクセサリーをアクセサリーシューに付けることでXLR端子のマイクも接続できるようになり、高音質で収録できる。
現時点での不満ではあるが新発売のEOSシリーズでは全てアクセサリーシューに対応しているので確実にEOS R5 Mark IIでは対応してくるだろう。
以上がEOS R5を1年間使用しての不満点である。ご覧の通り動画撮影時の不満点がほとんどで静止画撮影時の不満点は全く無い。
実際スチル機としては本当によくできた機種だと思う。プロモEOS R5を利用するくらいで本当に良い製品だとは思う。
EOS R5の良いところ
概ねEOS R5の悪いところ、デメリットを記載し終わった。次は良いところを挙げていきたいと思う。実際に仕事として使ってみた部分もあるし、趣味レベルでの撮影も含めた部分での使用感も伝えていきたいと思う。
良いところ1.写真の解像感
元々Canonのスチル機としては名機だったEOS 5Dに変わるスチル機として、Canonの中で特別な意味を持つ“5”を関して出てきたモデルだ。
そのスチル性能が素晴らしいことなのはCanonが数字に“5”を付けてきたことからもわかる。
また4,500万画素の高画素機であることからクロップ耐性も強く、スマートフォン程度の画面で見る場合はトリミングして拡大しても全く問題無い。
実際に下記の作例を実サイズで表示してもらいたいが、毛の1本1本までしっかり表現されているし、ディズニーキャラクターにおける見えてはいけない(目を背けるべき)ところまで映してしまう。
良いところ2.AFが優秀
これは以前までメイン機種がPanasonicのLumix機だという前提があるのだが、EOS R5のデュアルピクセルCMOS AF IIが非常に優秀で助かっている。
Lumix機(GH5S)に比べるとウォブリングが圧倒的に少なくフォーカスもバチッとあってくれるため、YouTube動画の撮影も基本的にはAFで任せっきりの撮影が安心してできる。
AFが敏感すぎる故被写体の手前に遮蔽物ができた場合はそちらにピントが意図せず合ってしまう場合もあるのだが、その辺りは使い方を慣れてくると対処はできるようになる。
良いところ3.音声自動制御の優秀さ
EOS R5は音声【オート】と【マニュアル】の2パターンがあることは、音声メーターが表示されない悪いところで伝えたが実際のところEOS R5の録音【オート】は非常に優秀だ。
音声入力が大きい時は自動でゲインを下げてくれるし、小さい時はゲインを上げてくれる。
もちろんこれは一長一短あって、常に一定のレベルで録音してくれた方が良い場面もある。
だがそういった場合は【マニュアル】の制御を行えば良い。という完全に棲み分けができているとも思える。
実際にEOS Rの時は音声の入力に試行錯誤を繰り返した記憶があるが、EOS R5になってからはいつも【オート】に設定しており音声設定に関してはほぼ何もせず撮影している。
良いところ4.手ぶれ補正の優秀さ
EOS R5/R6はEOSシリーズで始めてボディ内手ぶれ補正が搭載された機種だ。
発表当時も多くのYouTuberが『手ぶれ補正スゲェ!!』と息を巻いていた。手持ちでシャッタースピード1秒の撮影をしている人もいたくらいだ。
実際にEOS R5もレンズ内手ぶれ補正とボディ内手ぶれ補正が協調している時は本当によく止まってくれる。
冒頭でお見せしたディズニーランド エレクトリカルパレードの動画はEOS R5に70-200mm F2.8 L IS USMを使用している。手持ちでだ。
実際にキャラクターによっていった時は望遠端の200mmになっているときもある。ズーミング中はブレていることが多いがズームが終わった後はビタッと止まっていることがわかる。
広角レンズの場合はコンニャク減少が問題視されているのも事実だが、望遠レンズによる撮影では手持ちでもこのようにしっかり止まってくれる。
総評
冷静に評価してみると思ったより良かった!と思う点が少なかった。
オーバーサンプリング4Kや8K RAWの画質がメチャメチャ綺麗。ということも言いたかったが、ぶっちゃけYouTubeレベルではGH5Sの4Kと画質面では大きな差を感じられない。
これは僕が正確な画質に対しての感度が低いということも影響していると思う。
『8K RAWメッチャ綺麗だな!』と感じることもあるが、それと同時にGH5Sの4Kも同じようにメッチャ綺麗だなと感じることもある。
ブラインドテストを行ったら正直わからないだろう。
フルフレームによる背景のボケ感はフォーサーズ機のGH5Sとは比べものにならないが、こと“画質”に絞った話では正直違いが分からない。
やはり写真機としては非常に優秀な機種だと思うが、動画メインで使おうとする場合はあまり向いてないと言わざるを得ない。
録画時間制限がイヤならばEOS R5 Cという選択肢もあるが、ボディ内手ぶれ補正が非搭載だしデュアルピクセルCMOS AFがIIではなく通常のものが搭載されている。
そういう意味でもEOS R5 Cは中途半端でしかない。
個人的にはオーバーサンプリング4Kを30fps/60fps両方に対応してもらい29分59秒の録画制限を撤廃。
フルサイズのHDMIの搭載。これらは絶対にして欲しい内容でもある。
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