以前EOS R5で使用するCFexpressカード、SUNEASTのCFexpressカード 2TBをレビューした。
以前まではこのSUNEASTのCFexpressカードしか所有していなかったのだが、今回訳あってLexarのCFexpressカード GOLDシリーズ 512GBを手に入れることができた。
今まで比較対象が無かったためSUNEASTの2TB CFexpressカードが出すパフォーマンスが『そういうものなんだ』で納得できたが、今回は老舗メーカーのLexar、しかもGOLDシリーズという上位グレードのCFexpressカードとしっかり比較してみたいと思う。
なおストレージ製品については個体差が大きい場合が多い。同社製品の全ての製品に今回の比較内容が当てはまる訳では無いということを予めご了承いただきたい。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
目次
各製品の仕様
まずは今回比較するSUEAST 2TB CFexpressカードとLexar CFexpressカード GOLDシリーズそれぞれのスペックを確認しておこうと思う。
また、Lexarに関しては下位シリーズのSILVERもあるため合わせて確認したいと思う。
SUNEASTというブランドについて
まずSUNEASTというメーカーだが、正確には株式会社 旭東エレクトロニクスという会社で日本企業である。
株式会社 旭東エレクトロニクスが自社ブランドの製品に命名しているのがSUNEASTというブランド名である。(たぶん)
本社は大阪にあり設立は2017年と比較的新しい企業ではある。東京にも支社が存在する。
製品工場も日本国内にあるのかどうかは知らない。というか価格帯から考えて多分無い。
SUNEASTのCFexpressカードについて
SUNEASTはいくつかPCパーツやストレージを販売しているが今回はCFexpressカードに限った話をしようと思う。
SUNEASTのCFexpressカードには容量にいくつかラインナップがあり、容量によってスペックが異なる。
容量 | 最大読込速度 | 最大書込速度 | 参考価格 |
---|---|---|---|
128GB | 1550MB/s | 550MB/s | ¥11,980 |
256GB | 1700MB/s | 1100MB/s | ¥25,900 |
512GB | 1700MB/s | 1400MB/s | ¥44,000 |
1TB | 1700MB/s | 1400MB/s | ¥68,000 |
2TB | 1700MB/s | 1500MB/s | ¥86,000 |
このように容量に比例してカード自体のスペックも上昇していく。
今回使用するのは2TBであるため、ラインナップ上は最上位のグレードということになる。
また、2022年9月現在SUNEASTのCFexpressカードは通常のラインナップよりも耐久性に優れ長寿命であるpSLCメモリーを使用したものも用意している。
Lexarについて
Lexarというメーカーはカメラを触っている人であれば恐らく知っている人も多いと思う。
元々はLexarという独自のメーカーであったが、色々あって今は中国のメーカーに買収されLexarブランドとして製品を販売し続けている。
つまり所謂【中華ブランド】の一つとも言える。(個人的に中国企業への偏見は無いが)
しかしLexarはかなり前からストレージ製品を販売しておりノウハウ自体は沢山持っているだろうから比較的信頼性は高い企業だと思う。
LexarのCFexpressカードについて
LexarのCFexpressカードには現在3つのシリーズラインナップがある。
最上位シリーズであるDIAMONDシリーズ
次にGOLDシリーズ
一番下位のグレードがSILVERシリーズ
各グレード毎にカードのスペックが異なる。
シリーズ | 最大読込速度 | 最大書込速度 |
---|---|---|
SILVER | 1000MB/s | 600MB/s |
GOLD | 1750MB/s | 1000MB/s |
DIAMOND | 1900MB/s | 1700MB/s |
今回の比較対象
各メーカーについて説明が終わったので実際に比較に入っていきたいと思う。
改めて今回比較するそれぞれのカードは
メーカー | 最大読込速度 | 最大書込速度 |
---|---|---|
SUNEAST 2TB | 1700MB/s | 1500MB/s |
Lexar GOLD | 1750MB/s | 1000MB/s |
理論上、読込速度はLexar GOLDシリーズ、書込速度はSUEAST 2TB CFexpressカードの方が速い。
特に書込速度に関しては500MB/sの差があり、これがどれほど実測値に影響を与えるかが気になるところではある。
なお今回使用するCFexpressカードリーダーについては【Lexar CFexpress タイプB USB 3.2 Gen 2×2 リーダー】だ。
このCFexpressカードリーダーをUSB3.2 Gen2で接続する。最大転送速度は10Gbps(=1,250Mbps)となる。
CrystalDiskMark 7の比較
SUNEAST | 読込速度 | 書込速度 |
---|---|---|
1回目 | 1015MB/s | 1000MB/s |
2回目 | 1015MB/s | 993MB/s |
3回目 | 1014MB/s | 995MB/s |
4回目 | 1014MB/s | 994MB/s |
5回目 | 1015MB/s | 993MB/s |
【画像をクリックで拡大】
Lexar GOLD | 読込速度 | 書込速度 |
---|---|---|
1回目 | 1023MB/s | 949MB/s |
2回目 | 1017MB/s | 952MB/s |
3回目 | 1017MB/s | 942MB/s |
4回目 | 1021MB/s | 953MB/s |
5回目 | 1017MB/s | 942MB/s |
【画像をクリックで拡大】
412GBのファイル転送速度比較
EOS R5で撮影した8K RAW動画素材をそれぞれのCFexpressカードに転送した。
先程のCrystal Disk Markとは違い連続的な書込速度の推移を
転送時間 | 平均転送速度 | |
---|---|---|
SUNEAST | 15分47秒 | 400MB/s後半 |
Lexar GOLD | 12分20秒 | 500MB/s後半 |
SUNEAST 2TB CFexpressカードの転送速度
Lexar GOLDシリーズの転送速度
Crystal Disk Markでの計測ではあまり違いが出なかったが、連続的なファイル転送では明らかな差を感じることが出来た。
Lexar GOLDシリーズは安定して570MB/s~590MB/sの速度で転送出来ていたのだが、SUNEAST 2TBでは420MB/s~460MB/sの速度で明らかに遅いし安定性にも欠けていた。
これがどの様な撮影シチュエーションで影響が出るかは分からないが、もし8K RAW動画を長時間連続して書き込みし続けるとしたら途中で急激なパフォーマンス低下が起こってしまうことも考えられる。
感想
今回、初めて自分の持っているSUNEAST 2TB CFexpressカードを他社と比較することができた。
今まで、速度計測やファイル転送をしても『こんなもんか』と感じていたが改めて他社との違いを感じられた。
まずスペック上はSUEAST 2TB CFexpressカードの方がLexar GOLDシリーズよりも書込速度は速いが実際はあまり変わらなかった。
勿論USB3.2 Gen2で接続しているため、USB規格による転送速度制限の可能性もあるがカタログスペック上は500MB/sの速度差があるからもっと差を感じたかった。
ちなみにどちらのカードも8K RAW動画は撮影することができた。
ただ、以前SUEAST 2TB CFexpressカードでは昼間の8K RAW動画撮影時に『書込速度不足のため録画を停止します』という警告が出続けたことがある。
これが連続書込時のパフォーマンス低下なのか何が問題なのかは分かっていない。
この症状はディズニーランドで昼間のパレード【ドリーミング・アップ!】を撮影したときだけ発生している。ということだけは確かな情報だ。
また、冬場のディズニーランドにおいてはこのようなことは起こらず4月・6月の撮影時に発生している。
温度による問題かパフォーマンス低下するタイミングがあるのか。これは引き続き調査していきたいと思っている。
個人的にはLexarのCFexpressカード GOLDシリーズの方が信頼性が高そうな印象を今回の検証で覚えた。
しかしエレクトリカルパレードを8K RAWで撮影すると、1回で500GB近くまで容量が必要になる。現状GOLDシリーズでは512GBが最大容量なので足りない。ぜひとも大容量のラインナップも出してほしいところだ。
SUNEASTの2TBのCFexpressカードを使わざるを得ない。容量的に問題が無いのであればLexarのGOLDシリーズをオススメする。
ただ価格面でも問題はある。
SUNEAST 2TB CFexpressカードは約86,000円
Lexar 512GB GOLDシリーズは約68,000円
容量あたりで言うとLexar GOLDシリーズの方が割高感はある。(というかSUNEASTが安すぎる)
このあたりは信頼性とお財布事情との天秤で自分に最適な選択をしてもらいたいと思う。
コメントを残す