動画撮影や配信用に大光量のライトが必要だったためスタジオライトNANLITE FC-500Bを購入した。
今回購入したNANLITE FC-500Bは色温度可変式で500Wのパワフルな光量を実現し、10万円を切る価格にも関わらずプロ使用にも耐えうる性能を備えているコストパフォーマンスの高いモデルだ。
いわゆる定価は115,500円だが、Amazonでは定期的にセールをおこなっている。多くの場合10%前後の割引きなので実売価格で言うと10万円を切っていることが多い。
コストパフォーマンスが高いとはいえ、10万円近くそこそこ高額な商品だ。
この記事では実際の使用感や特徴を掘り下げ、購入を検討している人に役立てばと思う。
NANLITE FC-500B 撮影用ライト 高出力520W 色温度2700-6500K CRI96 TLCI98 バイカラー LED 定常光 12種類照...
目次
用途はムービー用
NANLITE FC-500Bはスタジオライトとして販売されているが、僕はスタジオを所有しているわけではない。
主な用途としてはレンタルスペースを使用したセミナー配信や動画撮影だ。
レンタルスペースはほとんどの場合暗く動画撮影に適した環境でない場合が多い。
カメラのISO感度が上がるとノイズが出るので、極力ノイズを抑えるため東京オフラインセンター(以下TOC)にてAputure LightStorm 600d Proをレンタルし使っていた。
レンタル予約する→取り行く→返却する。この工程を毎回行うのが面倒だった。交通費も時間もかかる。
Aputure LightStorm 600d Proは20万以上するため購入する場合は40回以上借りて償却できる計算だが、NANLITE FC-500Bの場合はたった17回で越えてしまう。
Aputure 600d Proライト, Light Storm 600D Pro LED 撮影ビデオライトVマウント付き 無段階調光 600w写真照...
普段使いもできるし17回で償却できてしまうなら買った方が良いという結論に至った結果購入に踏み切った。
FCシリーズは性能とコスパを両立したモデル
photo via NANLITE JAPAN HP
そもそもNANLITEは広告、映画、テレビ、ポートレート撮影など、プロからアマチュアまで幅広い映像制作の現場で利用されている撮影用LED照明を販売しているブランドだ。
親会社であるNANGUANGは1992年に設立されている。
日本でもInterBEEやCP+で出展しているので知っている人も多いだろう。既に国内でも有名なメーカーにブランドになるつつある。
PavoTubeのようなチューブ型のLEDライトなど特徴的な製品も販売している。
スタジオライトにはいくつかラインナップがあり価格も幅広い。
Evokeシリーズはフラッグシップのプロ仕様スタジオライト。
900Wのスポットライトや2400Wの超高出力スタジオライトなどがこのシリーズでは用意されている。価格も50万や100万円を超える価格帯となっている。
Forza シリーズはEvokeに続くハイエンドシリーズ。基本的にはプロユースを想定されているため使い勝手が良くなるような設計をされている。(らしい)
60Wなど低出力のスポットライトも用意されているが、580Wや800Wなどの高出力LEDスタジオライトも用意されている。
価格帯は5万円~27万円前後とEvokeに比べると比較的低く抑えられている。
続いてFCシリーズ。Forzaに次ぐシリーズとして、プロユースも想定しているが一般ユーザーも手を出しやすい価格帯に抑えているシリーズ。
価格帯も5万円から20万円までと性能と価格帯の丁度良いバランスを狙ってきたシリーズと言える。
最後にFSシリーズ。FSシリーズは最もリーズナブルなシリーズだ。
価格を抑えて一般ユーザーが手を出しやすい価格帯の製品となるシリーズ。安定器(電源)が本体一体型になっていることが多く付属品が無く取り回ししやすい。
最も高出力のモデルでも350Wで操作性も若干犠牲にしている部分がある。しかし光の質は担保されておりコストパフォーマンスに優れるシリーズと言える。
FC-500Bの詳細
ダラダラと前置きが長くなってしまったが、今回購入したNANLITE FC-500Bの詳細を見ていきたいと思う。
FC-500Bのスペックは下記。同じFCシリーズのFC-300Bとも比較しようと思う。
FC-300B | FC-500B | |
---|---|---|
サイズ | 360.3×246.4×134.8mm | 373.2×246.4×149mm |
重量 | 2.6kg (ライト本体のみ) |
3.16kg (ライト本体のみ) |
出力 | 350W | 520W |
CCT | 2700K-6500K | 2700K-6500K |
CRI | 平均96 | 平均96 |
TLCI | 平均98 | 平均98 |
対応マウント | – | ボーエンズマウント |
販売価格 | 79,200円 | 115,500円 |
セール時参考価格 | 67,320円 | 96,800円 |
光源が発する光の色温度を表す指標。
単位はケルビン (K) で示され、光の見た目の色味を数値化したもの。
光源が物体の色をどれだけ自然に見せるかを示す指標。値は0〜100の範囲で表され、数値が高いほど色再現性が優れている。
太陽光や白熱電球が基準(CRI=100)とされ、この値に近いほど自然光に近い色再現性をと言える。
映像制作に特化した指標で、カメラが光源を通してどれだけ正確に色を再現できるかを評価する。値は0〜100の範囲。
カメラセンサー、照明光源、および色補正プロセスを考慮したシミュレーションによって算出され、TLCI 90〜100は最高評価。ほぼ補正不要で正確な色再現と言える。
NANLITEのスタジオライトはCRI:平均96以上をほぼ全ての製品で取得している。そのためどのラインナップを選んでも演色性は非常に高いスタジオライトが手に入る。
FC-300Bだけ恐らくボーエンズマウントに対応していない。
FC-500Bの同梱物
内容物としては【本体】【電源(安定器)】【AC電源ケーブル】【DC電源ケーブル】が付属している。【リフレクター】も同梱されているが既に本体に取り付けられた状態だ。
またNANLITE FC-500Bはケースに取っ手が付いているのでそのままキャリーバッグとして機能する。
LED本体は3.3kg。スペック上は3.1kgだがそれはリフレクターを付けなかった場合の重量だ。リフレクターを付けた重量としては3.3kgとなる。
安定器(電源)は2.3kg。LED本体と合わせたシステム重量は5.6kgになる。やはり500Wの高出力なので全体の重量としてはそれなりにあるのでスタンドの耐荷重は意識する必要がある。
しかし安定器(電源)にはフックが設けられておりスタンドに引っ掛けることでウェイトとしても使えるので、割と貧弱そうなライトスタンドでも支えることは可能だ。
画像のライトスタンドはナットロック式で引っ掛ける部分が無いが、開いた足の上に乗っけるだけでもある程度ウェイトとしての役割は担ってくれる。
ケース兼キャリーバッグに入れて全てを持ち運んだ際の重量は8.1kg。電源ケーブル2本も合計1kg程度あるので、本体5.6kgと合わせて持ち運ぶ時はそこそこの重量になる。
基本的に持ち運びを想定されていないと思うが一応持ち運ぶことも可能だ。
僕は新幹線に乗って大阪まで手持ちで運搬した。もちろんその他の機材も持ち運びながらだ。
かなり気合いを入れて外を持ち歩く必要はあるが、徒歩(+電車)での持ち運びも不可能ではない。
ただしJALの機内持ち込み手荷物の規定は下記で高さが2cmオーバーして3辺の合計も115cmを越えるため、飛行機の機内持ち込み荷物には適合しない。
預け入れ荷物にしなければいけないため飛行機での移動は断念した。
合計:115cm以内
W55cm×H40cm×D25cm
合計重量 10kg以内JAL公式HPより
NANLITE FC-500Bのキャリーケースのサイズは約55cm x 約42cm x 約22cm 重量8.1kgとなる。
FC-500B 照明本体の詳細
FC-500BのLED灯体を見ていこう。
リフレクターをつけた状態で長さは約40cm。リフレクターを外した状態だと約30cmとなる。灯体自体の高さは約14.8cm。
灯体自体は非常にコンパクトだと思う。FSシリーズは安定器(電源)一体型でほぼ同じサイズ感なので、安定器(電源)が別体という煩わしさはあるが、LED照明本体がコンパクトであることは間違い無い。
反対側にはロックレバーがある。片方でしっかりロックできる。これがFSシリーズの場合は両サイドから締め付けないといけないため、FCシリーズの方がシンプルで簡単になっている。
本体背面にはコントロール系統が集約されている。奥行きは約14.5cm。ちなみにコントロールはiPhone/Androidアプリからも可能。
中央にDC電源ケーブルを接続するが、ちゃんとプロ使用を想定してロック機構が施されているあたり安心感がある。
ちなみにAC電源ケーブルは通常だと3ピンのアメリカ式NEMA 5-15Pだが、標準で2ピンに変換するアダプターを用意してくれている。この辺りは非常にありがたい配慮だ。
NANLITE FC-500Bの使用感
セミナー配信や動画撮影時に実際に使用して感じた良いところと悪いところを挙げていく。
主に動画での使用に限った話となるので静止画で使用したい場合は若干異なる可能性もあるので気を付けて欲しい。
良いところ1:1灯で十分明るい
NANLITE FC-500Bはメチャメチャ明るい。さすが520Wだ。
冒頭にも書いたが以前まではAputure LightStorm 600d ProをTOCでレンタルして使っていた。
Aputure LightStorm 600d Proは600W相当の超高出力LEDスタジオライトだ。
NANLITE FC-500Bはスペック上520Wなので明るさとしては見劣りする。しかし感覚的にはほぼ同じといても差し支え無いと言っても過言では無い。
Aputure LightStorm 600d Proとほぼ変わらない感覚の明るさだし、1灯だけで十分明るい。そんなに広くない室内で使用する場合は尚更だ。
夜間カーテンを閉めた状態のほぼ真っ暗なリビングも1灯、しかも天井バウンスするだけでこの明るさを確保することができる。
白のセーターで撮影するという愚行を犯してしまったが、真っ暗な室内で1灯炊いただけの状態でも十分撮影可能な光量を放つ。
自分から3m程度の所にNANLITE FC-500Bがあるが、この状態でも十分明るさを維持したまま撮影可能だ。
良いところ2:明るいし色温度可変式
Aputure LightStorm 600d Proの色温度は5600K±200Kだった。対してNANLITE FC-500Bは2700K~6500Kまで幅広く色温度は変えることができる。
基本的は太陽光に合わせて4500~5400K付近に合わせることが多い。とはいえ様々な室内環境で使うことが多いので、色温度が変えられる幅が大きいのは助かる。
当日撮影する環境の色温度に合わせてNANLITE FC-500Bを点灯することができるので、色が混ざり変な雰囲気になることを避けられる。
良いところ3:角度調整が容易
NANLITE FC-500Bは本体を後ろから見たとき右側にだけ角度調整レバーがついている。
FSシリーズの場合はこれが両サイドから締め付けるタイプなので左右しっかりとキツくする必要がある。
FC-500Bは右側のみなので締めたり緩めたりが容易だ。しかもありがたいことに、ある程度キツく締めておけば勝手に角度が変わることが無いのに手では簡単に角度を変えられる。
角度を調整するのに毎回毎回、しっかりキツく締めて固定、緩めて角度調整、キツく締めて固定。という作業をする必要が無い。
多少キツく締めておけば後は少し力を加えるだけで角度調整ができる。この微妙な力加減が個人的には気に入っている。
良いところ4:その他操作性が簡単
一応プロユースも想定されているモデルのため、レバーの件もそうだが全体的に操作性が非常に分かりやすいのと簡単に行える。
そもそもNANLITEの製品はiPhone/Androidアプリの出来が良いと評判だ。本体の操作性が悪くてもアプリのUIが良いから全く問題無いという評価を得られるくらいアプリの出来が良い。
とはいえ余計なアプリをインストールしたくない僕としては本体の操作性が良いのも非常に評価ポイントだ。
本体背面のダイヤルは左右に回すのとクリックが可能で、輝度のダイヤルはゆっくり回せば0.1%刻みで調整早く回せば1%~10%刻みで調整することができる。
すぐに明るくしたい、すぐに暗くしたいという場面でも非常にスピーディーに対応することができる。操作性が素晴らしい。
悪いところ1:AC電源ケーブルが硬い
これは使ってて現時点で一番悪い(嫌な)ところだと感じている。
NANLITE FC-500Bは壁コンセントと安定器(電源)を繋ぐAC電源ケーブルと安定器(電源)と本体を繋ぐDC電源ケーブルの2本のケーブルが付属する。
このうち壁コンセントと安定器(電源)を繋ぐAC電源ケーブルがめちゃくちゃ硬い。
これはマジで硬い。本当にムカつく。DC電源ケーブルはXLRケーブル並に柔らかく八の字巻で収納しやすいが、AC電源ケーブルは付いている癖が一生抜けないし巻きづらい。
AC電源ケーブルは長さが6m~7m程度あるため仕方ないかもしれないがもう少し柔らかくなってくれると更に取り回しがしやすくなる。
Amazonで汎用の3ピン電源ケーブルを買おうかとすら考えている。
2025/02/05追記
純正の電源ケーブルが硬すぎるのでサンワサプライの電源ケーブルを購入した。
購入したケーブルは4mで純正のケーブルは恐らく6m。若干短くなってしまったが、100%でも問題無く点灯できた。
若干短くはなってしまったが、取り回しがしやすくなった。八の字巻もしやすくなったので長さがネックにならなければ割とオススメのケーブルだ。
値段もそこまで高くないので導入しやすいと思う。
悪いところ2:ケースが持ちづらい
NANLITE FC-500Bはケースがそのままキャリーバッグとして使える様に取っ手がついている。
別でケースを買わずにそのまま持ち運べる環境を整えてくれているのは嬉しいが、このキャリーバッグの取っ手は非常に持ちづらい。
ローラーが付いているようなキャリーバッグのようにしっかり握り込むことができない。
そのため約8kgのキャリーバッグを指先で支えるように握り込む形になる。指に引っ掛けるという表現の方が割と近い。
この状況で手持ち移動すると、ほんの数分で前腕が悲鳴を上げ始める。持ち運びを前提としたキャリーバッグでは無いのだろうがもう少し持ちやすい形状だとよかった。
まとめ
ハイアマチュアからセミプロまで幅広い用途に対応できるスタジオライトだと思う。
FCシリーズはプロユースも想定しているため、角度調整レバーが1つで完結したり、電源ケーブルにロック機構があったりかゆいところに手が届いている製品だ。
明るさも520Wと比較的高出力で尚且つ10万円を切る価格帯で販売されている。この光量の照明が10万円以下で手に入るのは驚きだ。
予算があれば2灯購入できると使い方の幅は広がると思うが1灯でも十分に明るく照らしてくれる光量を放つ。
予算が10万円の場合はFC-300Bを2灯買うという選択肢も考えられる。500W級の輝度が必要なく表現の幅を広げる目的であればFC-300Bを2灯買うべきだ。
対して僕のように車両以外で持ち運ぶ可能性があり、尚且つ1灯でとにかくその場が明るくなれば良いという目的であればFC-500Bを1灯買うだけで様々な室内環境に対応できるようになるだろう。
FC-300BにしてもFC-500Bにしてもどちらを購入しても恐らく後悔することは少ないプロダクトだと言えるだろう。
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