EOS R5で4K高画質を(ほぼ)無制限で撮影する(裏技的)方法

2022年1月19日にCanonからEOS R5 Cが発表されてEOS R5で動画を撮影していたユーザーにとっては朗報となるはずが、EOS R5最大のセールスポイント『ボディ内手ブレ補正機構』が省かれて落胆しているユーザーも多いと思います。

前回アップした『EOS R5 Cのこれぢゃない感が否めない』という動画が思ったより低評価が少なくて結構同じように思ったユーザーがいるんだと思いました。

むしろその前にアップした『動画機としてどう考えても向かないEOS R5の動画について考える』って動画の方が低評価低くて、スミマセンって感じです。

EOS R5に搭載されているボディ内手ブレ補正レンズ内光学手ブレ補正による協調制御で最大8段分の非常優れた手ブレ補正機構を捨ててまで、EOS R5 Cを購入する意義はハッキリ言って無いと言わざるを得ません。

ただ、逆に言うと多くのユーザーにとって『EOS R5を使い続けてやろう』と決意させる内容になっていたとも言えます。そのうちの一人が僕です。

EOS R5のオーバーヒート問題で悩んでいたユーザーの一人で、EOS R5における【録画時間制限】【熱処理問題】の二つの大きな問題を如何にして解決するか。を日々考えていました。

そして、遂に今回この2つの問題を(ほぼ)解決する方法を見つけました。(条件付き)
今回はその方法と制約を細かく説明していきたいと思います。

この記事の目次(クリックでジャンプ)

EOS R5で無制限録画するための制約

今回の手法ではEOS R5にて4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)の収録を記録時間無制限及び熱停止無しで行うことができます。
ただしいくつか条件付きとなるので、まずはその制約を最初に理解してください。

  • 外部収録機器が必要
  • 4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)
  • カメラの操作は一切不可能
  • ズームを含めたレンズの操作も一切不可能

一つずつ詳しく解説します。

外部収録機器が必要

EOS R5は動画の収録時間を最長29分59秒に設定している。これにプラスして温度上昇によって収録時間が短くなってくる。

どんなに良いコンディションでも最長は29分59秒。これは全ての解像度で回避することはできない。
まずこの問題を回避するために外部収録機器を用意する必要がある。

今回は4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)を収録するため、4K対応レコーダーATOMOS Shogun7を使用した。

未だ未検証ではあるがATOMOS NINJA VBlackmagic Design VideoAssist 12G HDR でも同じことは可能だと思われる。

また、今回は4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)における検証となっている。僕は所有していないがATOMOS NINJA V+ を使用すれば8Kでも同様のことができる可能性がある。(未検証)

外部収録機器が無かったとしても4K対応のキャプチャデバイスなどでも代用できると思われる。

まずはこれらを用意して欲しい。

4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)

前項でも挙げたが、今回は4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)に絞った話となる。

理論上はATOMOS NINJA V+ を使用すれば8Kでも同じことが可能なハズだが、ATOMOS NINJA V+ を所有していないため今回は試すことができていない。

カメラの操作は一切不可能

これの意味が分からない人が多いと思うが、まさにそのままとしか言いようが無い。

絞り・シャッタースピード・ISO・WB・露出補正などあらゆるカメラの操作が全て不可能になる。いや、厳密には不可能では無いのだが、操作をした瞬間に録画が停止する可能性がある。

これは恐らく今回の手法がソフトウェアの“穴”を突いた方法だからだと予想される。
そのため全ての撮影設定を一番最初に決めておく必要があり、光の条件も変わらない方が良い(オート設定による自動制御は可能)

一番条件が変わるのが【光量】だと思うが、これはISOをオートにするか、可変NDフィルターを使うことでなんとか解決することができる。(厳密には解決はしてないが)

※撮影後追記
連続撮影3時間を越えた後、通常通りISOの操作でカメラを起動状態にしたが熱停止はしなかった。執筆時は記録メディアをボディ内に格納したまま収録を開始したが、YouTube撮影時はメディアを抜いて撮影した。恐らくメディアを抜いていればセンサーに引っかからないと思われる。

ズームを含めたレンズの操作も一切不可能

これも前項と同様の理由でソフトウェアの“穴”を突く手法のためレンズのズーム操作も行えない。

ズームを行ったことで本体へ情報が伝達され、同じように撮影が停止する可能性がある。

RFレンズの場合コントロールリングもついているが、このコントロールリングに何か機能をアサインしている場合その機能も使えなくなってしまう。
ところがオートフォーカスについては問題なく使用することができる。

※撮影後追記
こちらもカメラの設定同様、執筆時は行えなかったがYouTube撮影時のテストではズームも問題無く動作していた。

制約を満たす場面

意外と制約が多く撮影できる場面が限られているが、逆に言うと用途を絞れば無制限で撮影が可能になるということでもある。

では具体的に上記の制約を全てクリアすることができる撮影場面はどんな時か。自撮りYouTube撮影だ。

自撮りYouTube撮影であれば、途中で露出を変えることもほぼ無い。レビュー系の場合は画角を変更する可能性はあるが、CanonのデュアルピクセルAFは動画でも非常に優秀なのでレビュー製品をレンズに近づけてオートフォーカスで対応すれば問題無い。

あるいは最近流行りの俯瞰位置に2カメを用意すれば問題ないだろう。その際はフルフレームである必要は無いと思うので、GH5などのノンクロップで4Kが撮影できるカメラを何か用意すれば良いだろう。

僕は自分のYouTube撮影に30分以上かかる場合がほとんど。それは喋り自体が長いのもあるが言い直しを何回も行っているせいもある。

  • 撮影環境が変わらない
  • カメラの画角(ズーム)操作を行わない
  • 外部収録機器を用意できる

このような環境であれば、EOS R5でも(ほぼ)無制限で4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)を収録することができる。ご自身の用途に合っているかどうかの確認をして欲しい。

条件に合わない場合は今回の手法は残念ながら利用することができない。

具体的な撮影方法

前置きが長くなってしまったが実際の設定と撮影方法について入っていきたいと思う。
とはいえ撮影自体は非常に簡単だ。

  1. 外部機器に接続する
  2. EOS R5のHDMI出力解像度を『自動』にする
  3. EOS R5の設定から【節電】のディスプレイのオフを早くする。(今回は1分)
  4. 外部収録機器で収録を開始
  5. 収録開始後EOS R5には一切触れない

HDMI出力解像度は自身が収録したい解像度に設定してもらえれば良い。設定は【1080p】か【自動】の2項目しかないため基本は【自動】で良いと思う。

さらに今回の撮影方法の胆となる【節電からディスプレイオフを早くする】ということ。
これを行わないと成立しない。

そして収録が始まったらズームを始め基本的にカメラには一切触れなくする。そうすれば無制限で4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)の撮影が可能だ。

なぜ無制限録画が可能なのか?(仮説)

今回の撮影方法の胆となるのはEOS R5の背面液晶モニターを早めにスリープ状態にするということ。

なぜそれだけで外部出力ながら無制限で出力可能なのか?
これは仮説でしか無いが、背面液晶モニターをスリープにすることで、その他多くの機能がスリープに入るからではないだろうか。

背面液晶モニターをスリープにすることで本体は起動し続けるが、温度上昇による強制シャットダウンをさせる回路やそれを行うソフトウェア制御もスリープに入る。というようなことを仮説として立てている。

この方法における注意点

さて、一応EOS R5においても4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)を無制限録画することに成功した。
とはいえこれは確実にメーカー非推奨の方法。しかもソフトウェアの“穴”である可能性が高いため色々気を付けておくことは多い。

そして少なくとも【自己責任】であることはお伝えしておく。

本体へのダメージ

なぜCanonはEOS R5の高解像度撮影において熱制限を設けているか?これを考えれば一目瞭然と言える。

そう。本体への熱によるダメージだ。

温度が高くなることによって、センサーや画像処理エンジンその他様々な内部部品へのダメージは計り知れない。
想像したくは無いが、いきなり次の瞬間から起動しなくなる。という可能性すら否めない。

熱によるダメージを最小限に抑えつつ、極力長く撮影を可能にしているのがメーカーが行っている制御だ。それを無理矢理取っ払っている様なもので、確実に本体への熱によるダメージはあると考えるのが自然だ。

事実、撮影自体は滞り無く数時間行えたが本体は非常に熱くなっていてグリップ部分などを触っても熱を帯びているのが分かるレベルまで温度が上昇している。

もう一度言うがあくまで自己責任でこの撮影スタイルを取ってほしい。

操作が一切おこなえない

背面液晶のスリープ状態を維持し続けなければいけないため、カメラの操作を一切行えないのは使い勝手を大きく低下させているとも言える。
勿論自撮りで撮影環境が一定な場合は大きなデメリットではないが、外で撮影したりジンバルに載せて撮影するスタイルの人にはあまり向かない制約だ。

光量の調整については【絞りオート】や【ISOオート】【可変NDフィルター】を駆使すれば本体に情報を伝達すること無く画作りすることはできる。

またジンバルを使用して撮影するスタイルの人は、重量バランスの関係上ズーム操作を行うことも少ないとは思う。単焦点レンズを使っている場合は特にズームは関係無いだろう。

※追記
先程も記載したがボディ内に記録メディアが格納されていなければこの問題も回避できる可能性が高い。

記録メディアは念のため抜いておく

(ほぼ)無制限に録画できるようにはなったが確実に本体に蓄積されていく。

一応SDカード・CFexpressカードを挿入したままテスト撮影をして3時間は連続収録することができたが、本体は非常に高温で撮影終了後各メディアを取り出したところCFexpressカードは非常に高温だった。
はっきり言って数秒も持っていられない。

無いとは思うがいきなり発火。というような可能性すら心配するレベル。
念のためSDカード・CFexpressカードは抜いておくことを推奨する。

長時間連続撮影はDCカプラー推奨

EOS R5はUSB-Cからの給電に対応している。

だが、撮影しながらの給電は非常に熱を帯びやすい。撮影だけでも非常に高温になってしまうのに、給電によって更に発熱を促すのは危険極まりない。

今回、僕も流石にそこまでのテストをする勇気は無く、LP-E6N系のDCカプラーを使用してテストを行っている。
外でバッテリーを使い収録する場合は、そもそもLP-E6NHのバッテリー駆動時間で一旦収録が切れるためそこまで関係は無いかもしれない。

ただ、高温になった状態でバッテリーを入れ替え再起動した場合、その時点で高温注意が出現し強制シャットダウンされる可能性があるので注意が必要だ。

収録時間は外部収録機器依存になる

前項でEOS R5自体のバッテリーについて言及したが、当然外部収録機器にも電源は必要になる。

今回僕が使用したATOMOS Shogun7ではコンセントから直接電源を引っ張って対応した。

外で使用する場合は使用する外部収録機器のバッテリー駆動時間に依存することとなる。

外部収録機器のバッテリー持続時間を考えるのであれば、バッテリーを2つ搭載しリレー駆動することができるATOMOS Shogun7Blackmagic Design VideoAssist 12G HDR を使用することを推奨する。

まとめ

本体へのダメージは否めないもののEOS R5の4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)で無制限録画を実現することができた。
まだまだハードルはあるが、条件さえクリアすれば実用には足りると言える。

EOS R5 Cの『これぢゃない感』が否めなかったためEOS R5の追求を行うきっかけとなった。とりあえず4K高画質(8.2Kオーバーサンプリング4K)においては実用できる状態にすることができた。

ぜひ条件に合致する人は試していただきたい。

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