EOS R5とEOS R5 CのAF性能を比較 EOS R5Cへの乗り換えを検討 その3

この記事は現在使っているメインカメラEOS R5からEOS R5 Cへの乗り換えを検討する前回・前々回の記事の続きだ。

今回はEOS R5からEOS R5 Cへ乗り換えることで失われる【オートフォーカス性能】(以下AF性能)について深掘りしていきたいと思う。

実際にEOS R5 Cを触る機会を得たので【AF性能】の比較をしていきたいと思う。

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杉本です。TwitterYouTubeやってます。

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EOS R5 CのAFについて

EOS R5からEOS R5 Cへ乗り換えの検討事項として今回の記事でAFを挙げている理由は
AFの世代がEOS R5はデュアルピクセルCMOS AF II、EOS R5 CはデュアルピクセルCMOS AFとなっているためだ。

EOS R5 CはEOS R5に比べて1世代前のデュアルピクセルCMOS AFを搭載している。

(便宜上EOS R5をデュアルピクセルCMOS AF II、EOS R5 CをデュアルピクセルCMOS AF Iとする。)

デュアルピクセルCMOS AF IIとデュアルピクセルCMOS AF Iの機能の差を少し見ていく。

勘違いしないでもらいたいがEOS R5 CはデュアルピクセルCMOS AF II自体は搭載している。
しかしデュアルピクセルCMOS AF IIが動作するのはPhotoモードのみで、VideoモードにするとデュアルピクセルCMOS AF Iになる。つまり静止画撮影におけるAFの世代差は全く無いと考えて良い。

測距可能エリアの違い

まず最初の違いとして【測距可能エリア】がある。

デュアルピクセルCMOS AF IIは画像内縦横最大約100%の領域で測距が可能。([顔+追尾優先AF]、自動選択時)

対してデュアルピクセルCMOS AF Iの場合は画像内約80%の領域で測距が可能となっている。

測距可能エリアの違いが世代による大きな違いの一つだ。

しかし、考え方によっては画像内の縦横20%の領域はセーフマージンとして確保する必要がある領域のため、そこに被写体が来ることは少なくAF性能が必要かどうかは考える余地があるだろう。

AFスピード

公式HPには記載が無いが、デュアルピクセルCMOS AF IIでは【世界最速AFスピード0.05秒】ということを謳い文句にしている。

ただしこれは静止画撮影時で動画撮影時にはこのスピードでAFが動作することは無い。しかし、静止画における合焦速度0.05秒というのは動画撮影時においても優位に働くことは間違いない。

ちなみにEOS R5 CにはデュアルピクセルCMOS AF IIとの比較は記載が無いが、合焦スピードも当然劣ることは間違い無いだろう。

動物の瞳・顔、乗り物検出

EOS R5のデュアルピクセルCMOS AF IIでは人物の瞳・顔・頭部の他に動物の瞳・顔、さらに乗り物まで検出できる機能がある。

対してEOS R5 CのデュアルピクセルCMOS AF I人物の瞳・顔・頭部の人物検出のみとなる。

ただ僕はメインの被写体に動物や乗り物が来ることはまず無いのでこの機能は無くても問題無い。

AF性能を実際に比較

他にも更に詳しく見ていくと世代による違いはあると思うが、実使用上で影響を大きく感じるのは前述の内容と思われる。

ということで、実際にEOS R5のデュアルピクセルCMOS AF IIとEOS R5 CのデュアルピクセルCMOS AF Iを比較してみた。
実使用上特に影響の大きいと予想される【AFスピード】【人体検出精度】【測距エリア】この3つを重点的に比較していきたいと思う。

今回検証にあたり条件としては

  • SS1/50、ISO400、F2.8
  • 異なるレンズを使用するため焦点距離を統一
  • 35mmと70mmで検証
  • レンズを入れ替えて検証
  • HDMI出力でパラメータも収録

完全な同一条件とは言い難いがなるべく性能差が出ないように心がけたつもりだ。

また、今回のAFスピードに関して、EOS R5は±0、EOS R5 CのAFレスポンスも±0の状態で比較している。

35mmでのAF性能比較①

EOS R5にRF15-35mm F2.8 L IS USM、EOS R5 CにRF28-70mm F2 L USMを装着し、焦点距離35mmでAF性能比較を行ってみた。

実際の検証は動画にキャプションを入れているためそこからの再生で実感して欲しい。

RF28-70mm F2 L USMのフォーカスブリージングが盛大に出ていてそっちの方が気になるが…。
無限遠にフォーカスが合ってから、手前に持ってくるAFスピードはEOS R5 Cがあまりにも遅かった。

瞳認識はできているのに中々瞳にフォーカスが合わない。遠くから手前に一気に持ってくるスピードは明らかにEOS R5に比べて遅れをとってると言わざるを得ない結果となった。

しかし、被写体を捕捉した状態で奥から手前にピントを持ってくるスピード及び追従感度はEOS R5にも負けていなかった。
むしろ瞳認識の精度で言うとEOS R5は瞳認識できていないのに、EOS R5 Cでは早いタイミングで瞳を認識できている。

しかし手前にピントを合わせるスピードがあまりに遅く感じた。
最初はレンズを入れ替えるつもりが無かった、レンズの違いによる影響を排除する必要があると感じ、この結果を見た後急遽レンズを入れ替えてテストすることを決めた。

35mmでのAF性能比較②

EOS R5にRF28-70mm F2 L USM、EOS R5 CにRF15-35mm F2.8 L IS USMを装着し、焦点距離は同じ35mmでAF性能比較を行った。

一番最初EOS R5 Cに装着したRF28-70mm F2 L USMのAFスピードが遅いのかと思ったが、RF15-35mm F2.8 L IS USMでも劇的に改善することはなかった。
つまりこの速度差がそのままデュアルピクセルCMOS AF IとデュアルピクセルCMOS AF IIの合焦スピードの違いということだろう。

サイドバイサイドでしっかりと比較するとここまで差が出るのかと驚く結果になった。

しかし先程と同様、被写体を捕捉した状態での追従速度と追従感度に大きな違いは無かった。一度補足してしまえばしっかりピントを合わせ続けてくれる信頼性は相変わらずだ。

70mmでのAF性能比較①

EOS R5にはRF28-70mm F2 L USM、EOS R5 CにはRF70-200mm F2.8 L IS USMを装着し、焦点距離70mmでのAF性能の比較となる。

先程のRF15-35mm F2.8 L IS USMやRF28-70mm F2 L USMよりかは合焦速度は速くなっている印象がある。
しかし恐らくこれはRF70-200mm F2.8 L IS USMのAF駆動スピードによる恩恵だろう。

RF70-200mm F2.8 L IS USMの凄さが分かっただけな気がする。しかし、純正レンズで良いレンズを使えばEOS R5 Cでも問題無く使えるということでもある。

70mmでのAF性能比較②

EOS R5にはRF70-200mm F2.8 L IS USM、EOS R5 CにはRF28-70mm F2 L USMを装着し、焦点距離70mmで比較してみた。

70mmになったところでEOS R5 CとRF28-70mm F2 L USMのAFスピードは速くも遅くもなっていない印象。35mmの時と同じような感覚だ。

EOS R5とRF70-200mm F2.8 L IS USMとの組合せのAFスピードともほぼ遜色無いような印象だ。

AF性能比較総評

AFスピードに関してはEOS R5に比べると明らかに遅いと感じた。

しかし追従精度と追従速度に関してはEOS R5と全く遜色ないと言っても問題ない感覚だ。
無限遠から手前に一気にフォーカスを持ってくるスピードは遅く感じるが、被写体を補足した状態で遠景から近景に近づいてくる被写体の追従は非常に優秀だった。

また、瞳認識の精度もEOS R5より優れている様な印象だ。
EOS R5では顔認識できているが瞳認識はできていない場面でもEOS R5 Cの場合は早い段階で瞳認識をしそこにフォーカスを合わせ続けられている。

これに関しては同じ世代のディープラーニング技術を使ったEOS iTR AF Xが上手く機能しているからだと予想する。

このEOS iTR AF Xとは

ディープラーニング技術を使って開発されたアルゴリズムにより、高精度な被写体認識能力を実現した[EOS iTR※1 AF X]。人物の瞳・顔に加え、新たに頭部検出も可能に。さらに動物(犬・猫・鳥)の全身・顔・瞳の検出にも対応※2しています。

※1
Intelligent tracking and recognition
※2
被写体によっては動物検出できないことがあります。また、犬・猫・鳥ではない被写体に対して動物検出する場合もあります。

キヤノン公式HPより

このEOS iTR AF Xに関して世代の違いは無さそうでほぼ同じ性能・ディープラーニング技術を搭載していると思われる。(実際はわからない)

また、ディープラーニング技術ということでEOS R5より後にリリースされたことによるデータ蓄積でより高い精度で瞳を認識できるようになっているのかもしれない。

個人的な使用環境だが、無限遠から一気に手前にピントを合わせることが必要な撮影は行わない。
むしろ、被写体と一定の距離感を保ちつつその被写体を追い続ける様な撮影が多いのだが、そういった用途の場合はEOS R5もEOS R5 Cも違いはほぼ感じないだろう。

ここまで、複数回にわたりEOS R5とEOS R5 Cの性能差・機能差を比較してきた。
EOS R5からEOS R5 Cに乗り換えることで『劣化する』と思っていた技術は、一概にそうでも無い事がわかった。

むしろ、実使用上においてはそれを上回るメリットすら存在している。
妥協しているわけではないが、世代による違いはほぼわからない。未搭載による影響は少ない。という判断に至っている。

ということで、EOS R5からEOS R5 Cへの移行を実施しようかと思う。
いや、なんならもう既に『移行済み』である。値上げ前に。

色々と執筆が遅くなっているが、EOS R5 Cのレビューも挙げていきたいと思う。

動画レビュー

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