EOS R5 Cの拭えない“これじゃない”感

2022年1月19日 日本時間21時、正式にCanonからEOS R5 Cが発表されました。発売開始は3月上旬となっています。

発表及び公式HPのスペック表などを見た感想は

拭えない“これじゃない”感

個人的には前回の記事にて『EOS R5は動画機としてどう考えても向かない』という話をしたばかりで、今回のEOS R5 Cには非常に期待していただけに残念でなりません。

【購入レビュー】Canon EOS R5を動画機として購入してマニアックにレビューする話

2022年1月12日

煽り記事とかではなく率直に、本当にそういう風に思っています。今回の発表では『おぉ!すげぇ!』という感動よりも『マジかぁ…』と思う場面の方が多かった。

では、なぜそんな風に思ってしまったのか?という話を今回は記事にしていきたいと思います。

EOS R5 Cをまとめると

この記事にたどり着いている方は既にEOS R5 Cのスペック云々などはご存じという前提でお話が進みます。まだ調べられていない・把握していないという方はEOS R5 Cにアクセスして仕様などを調べておいてください。

また価格及び仕様から恐らく競合機種となるFX3やS1H、同じシネマEOSのラインナップにあるC70との比較は記事後半でしっかりやっていきたいと思う。

このEOS R5 CはあくまでシネマEOSである。

僕がたどり着いた結論はこれになります。そして、我々が求めていたのはシネマEOSでは無い。と声たかだかと言いましょう。

なぜ“これじゃない”感が出てしまったのか

早速今回発表されたEOS R5 Cを酷評していきたいと思います。

前提として、僕はEOS R5を現在使用しています。EOS Rも使ってきました。動画がメインだけど写真も使う。完全にEOS R5 Cのターゲットにマッチした人間で尚且つEOS R5 Cにはとても大きな期待をよせていた。ということをご理解いただいた上で聞いてください。

では一つずつ問題点というほどでも無いが“そうじゃないんだよ”と感じた部分を挙げていこう。

ボディ内手振れ補正が無い

何故これを無くした?EOS R5/R6が発表・発売されたとき、多くのYouTuberがこぞって『すげぇ!』と言った内容の一つに手ぶれ補正があったのを忘れてしまったのか?

シャッタースピードが1秒でも手持ちで撮影できる。EOS Rには手ぶれ補正が無かった故にレンズに制約が出たり、撮影に制約が出ているというユーザーの声を忘れてしまったのか?

手ぶれ補正無いとは言ったが、正確には間違いではある。電子ISは搭載している。ただ、当然クロップが入る。クロップが入る電子ISなんてものははっきり言って使えない。

確かに、多少のクロップ程度では画質の劣化は見た目では分からない。だがそうじゃない。クロップされて画角が小さくなることがダメなんだ。

EOS R5の手ぶれ補正は【止める】ということに関しては本当に優秀だと使っていて感じる。そのままの手ぶれ補正を維持したまま動画無制限録画を実現して欲しかった。

では何故手ぶれ補正が排除されたのか?完全に個人的な憶測ですがいくつか予想していこうと思う。

排熱ファンとIBISの両立が厳しかったんだろう

完全な憶測ではあるが、今回のEOS R5 Cにボディ内手振れ補正が搭載されていないのには恐らく設計上の制約があったのではないか?と思っている。

というのも、8K RAWを今回は60fpsで撮影できるようになっている。8K 60fps RAWとなると映像処理エンジンに多大な負荷がかかり、それを冷却するのに空気の通り道を確保したり、ファンを取り付けたりした結果センサーシフトをする余裕が無くなったのではないか。

メーカー側の設計上の制約は分かる。(あくまで憶測だけど)
しかしPanasonic が販売しているLumix S1Hは手ぶれ補正を内蔵し、冷却ファンも搭載している。(重量はカメラ本体だけで1,000gを越えているが)

例の無いことをやろうとしているのであれば、設計上の成約云々の話は納得できる。しかし2年半前にPanasonicが実現している。SONYのFX3も光学式ボディ内手振れ補正を搭載している。『設計上の成約があった』というのは正直納得できない。

こんにゃく現象を解消できなかった

EOS R5/R6の手ぶれ補正はスチルに最適化されていることが予想され、スチル撮影においては手ぶれ補正の優秀さが際立った。

しかし逆に動画ユーザーから『こんにゃく現象がヒドくて使い物にならない』という評価を得ているのも事実。

今回発表されたEOS R5 Cはあくまでシネマカメラのラインナップに入ってくるため、絶対的にこんにゃく現象が発生した映像を作られることは許されない。

そして今回、Canonはこんにゃく現象を抑えるボディ内手振れ補正を設計・開発することができなかった。と考えざるを得ない。

詳しくは知らないが、メーカー側の苦労や制限は当然あるということを理解はしているつもりである。

自分もイベント興行に関わることが少なからずある。その時にやはり一番問題になるのが『予算』の問題だ。販売価格を決めた上で開発・設計・盛造をしなければならない。

また開発期間も制限が恐らくあるためできることは限られている。とはいえ…ボディ内手振れ補正が無いのは致命的と言わざるを得ない。

内蔵NDフィルターも無し

手ぶれ補正が無いなら最悪NDフィルターを内蔵して欲しかった。当然内蔵NDも無い。

もうこれはそれ以上でも以下でも無い。逆にシネマEOSなのであれば内蔵NDフィルターは必須なのでは?

HDMIはMicro

用途にもよるのかもしれないがHDMIはフルサイズ一択だと考えている。S1HもFX3もフルサイズのHDMIを搭載している。何故Micro HDMIなんだ?

今回のEOS R5 Cの発表会は4台のEOS R5 Cで行われたらしい。その映像を見ていただくとわかるが、Micro HDMI⇒標準HDMIになるアダプターを使用している。

え?その変換噛ませるの自分面倒くさくないん?

懐疑的である。どう考えても発表会をやるときにクルーは『Micro HDMIめんどくせぇなぁ』と思ったはずだ。

いや、むしろこれは面倒という感情論で整理できる問題ではなく、変換アダプターを噛ませるということは【接点が増える】ということだ。

今回の発表の様にスタジオから映像を引っ張ってくる。接続機器を多少なりとも動かす。となったとき、接点が多くなることはデメリットにしかならない。極力接続部分は少ない方が安定したオペレーションを遂行できる。

外部電源推奨場面多すぎ

EOS R5 CにあってEOS R5に無い機能として、【8K 60fps RAW収録】である。EOS R5は30fpsまでだったが、軽量なRAWフォーマットを追加したことにより8K 60fpsまで収録できることとなった。

しかし、公式HPの至るところに記載がある

※ 8K/5.9K RAWの59.94P/50.00P記録時は、装着レンズが通信・動作しない場合がある他、動作が不安定になりますため、外部電源による給電を推奨します。

公式HPより

電源はLP-E6N系で、EOS R5と共用できる。共用できること自体は本当にありがたい。既存のEOS R5ユーザーの乗り換えハードルを低くしている。

しかしLP-E6N系の電源ではそもそも8K 60fpsなどを処理する画像処理エンジンへの電力供給が十分ではない。ということが分かる。

実際、動作上は問題ないとのことだが、レンズからの絞り情報を受け取れなかったり、絞りを操作できなくなったり、AF性能の低下(停止)などが発生する場合がある。とのことだ。

EOS R5 Cは明らかに電力消費は増えている。

EOS R5には無い冷却ファンを搭載している。当然ファンを動かす電力も必要だ。マルチアクセサリーシューに対応し、アクセサリーシューに取り付けられた機器への電力供給も必要だ。

やることは増えているのに電源は据え置き。それはキツイ。だがそれに対してCanonの対応も酷いと思う。

バッテリーは共用できるようにしたよ。でも電力的にキツいんで、外部バッテリー(モバイルバッテリー)とか自分で用意してね。

と言っているということだ。いや、そうじゃないだろ?

僕がEOS R5で不満に思っていたのは外付けで色々用意しないと満足な性能を引き出せないということだ。モバイルバッテリー接続前提の運用なんて馬鹿げている。

とはいえ良かった点もある

ここまで色々酷評してきたが、もちろん『おーこれは良いね』と思うところもある。
悪い点ばかりを挙げていても卑怯と取られる可能性があるので個人的に『これは良い!』と思った点は挙げておこう。

8Kオーバーサンプリング4K

現在EOS R5では4K 30fpsの撮影フォーマットでしか8Kオーバーサンプリングはできない。正確に記載は無いが恐らくEOS R5 Cでは4K 60ffpsでも8Kからのオーバーサンプリングで撮影されると思う。

軽量

ファンを内蔵し、マルチアクセサリーシューを新たに搭載したのにも関わらずEOS R5からの重量は数十グラムの増加に抑えている。この点は評価できる。

長時間の手持ち撮影でも疲労感を覚えることが少なく済むと思う。いや、でも手持ち撮影が可能なら尚更ボディ内手振れ補正搭載してくれよ…。

モニターを開いてもHDMIに干渉しない

正直これが一番良い!と感じたポイントというレベル。現在のEOS R5、というか既存のミラーレス一眼のほとんどはHDMI端子にケーブルを挿すと背面モニターを開き回転させようとするとケーブルに干渉する。

このHDMIケーブルにモニターが干渉しない。という設計を初めて行ったのはPanasonicのS1Hだ。これを見たとき、本当に感動した記憶がある。これを実装してくれたのは非常にありがたい。

良い点が悪い点を上回らない

良い改善点をいくつか挙げたが、正直この程度にとどまっている。一番感動したのがHDMIケーブルが干渉しない。ということ程度。

あくまでシネマEOSという立ち位置なのか、ジンバルやスライダーに乗せることを前提として制作された。と考えざるを得ない。

違う。そうじゃないんだ。

ディズニーランドに行ったとき、気軽に写真も撮りたいし、時間の制限無く8Kを撮りたかったんだ。ディズニーでジンバルなんか構えられるか。

僕が望んでいたのは『スチルの動画機』であって『シネマEOS』ではない。

結局、ターゲットが違う。と言われてしまえばそれまでだが、EOS R5での欠点を補ったEOS R5の進化形動画機。という立ち位置では無いような気がする。

※競合機種となるS1HやFX3・C70との比較は順次記載していきます。

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