民生機における映像出力はHDMIが主流だ。しかしイベント配信現場では30m・50m・100mという距離で映像を飛ばすことはザラにある。
HDMIは規格上5m程度の映像伝送に適した規格で長距離伝送には向いていない。最近では光ファイバーを使ったHDMIも販売されているが安定性という面ではSDIケーブルの方に軍配が上がり、安心して運用できる。
イベント配信におけるカメラからの映像伝送は既にSDI化をしているが、実況解説システムではまだSDI化をしていなかった。
小型のSDIモニターはどこのメーカーも高価で導入にハードルがあったが
このLILLIPUT A11は比較的安価で、尚且3G-SDIに対応している。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
目次
LILLIPUT というメーカー
放送用のモニターというとSmallHDやBlackmagic Design、ATOMOSなどがあげられる。僕はLILLIPUTというメーカーは全く知らなかった。
LILLIPUTは中国。漳州に本社を置くいわゆる中華企業だ。意外と設立は前で1993年だ。
LILLIPUT は、電子およびコンピューター関連技術の研究と応用に特化した、グローバル化された OEM および ODM サービス プロバイダーです。ISO 9001:2015 認定の研究機関であり、1993 年以来、世界中の電子製品の設計、製造、マーケティング、配送に携わっているリリパットは、その運営の中心に 3 つのコアバリューがあります。ビジネスパートナーと共有し、常に「成功」を目指します。
放送用モニターからカメラモニター、PTZカメラまで幅広く製品を販売している。
LILLIPUT A11 10.1インチFHDモニターのスペック
まずはスペックを確認しておく。
画面サイズ | 10.1インチ |
---|---|
解像度 | 1920×1200 |
アスペクト比 | 16:10 |
コントラスト | 1000:1 |
明るさ | 320cd/m2 |
重量 | 550g |
入力 | HDMI/3G-SDI/VGA |
出力 | HDMI/3G-SDI |
その他 | VESA 75mmマウント / AC及びNP-F バッテリー |
Amazon価格 | ¥49,980(執筆時点) |
LILLIPUT A11の同梱物
- モニター本体(フレーム付き
- サンシェード
- Instruction Manual
- HDMIケーブル(Mini to Type-A
- AC電源
- NP-Fバッテリーアダプタ
- アダプタ取り付け用ネジ
- 自由雲台
HDMIケーブルは付属しているがMini to Type Aなので注意が必要。
また付属の自由雲台は非常に使い勝手が悪い。
六角と同じ袋の中にネジが1本付属されていたがこれは何に使用するのか不明だ。
LILLIPUT A11本体の詳細
LILLIPUT A11の実測値を計測。
縦は157mm、横が252mm、厚さ25mmで画面サイズは10.1インチ。1,920×1,200ドットのフルHDより少しドット数が多いフルHD表示のモニターとなっている。
スペック上の重量は550gとあるが実測値では575.7g。サンシェードを取り付けるためのフレームは着脱可能でつけた場合の重量は614.2g。
LILLIPUT A11本体の外観
液晶を正面として見たときに右サイド左サイドなど外観を見ていく。
上面は真ん中に1/4インチのネジ穴があり、右上部には操作系スイッチが集約されている。
MENUのダイヤルは回転させてカーソルを動かせるだけでなく押し込むことで決定操作をすることができる。
左右にも1/4インチネジが1個ずつあけられている。
底面には各種入出力、1/4インチネジ穴が集約されている。
イベント配信で丁度良いサイズ感
このLILLIPUT A11は10.1インチということもあり、イベント配信時の完パケ確認用モニターとして非常に使い勝手が良い。
僕の運用方法としては実況・解説席のモニターとして運用している。
実況・解説者は配信中顔出しをする可能性があるため13インチ~15インチでは少し大きいと感じる。そして7インチだと小さいと感じる。
その点10.1インチというサイズが完璧なサイズ感だ。
Amazonなどで売られているスマホスタンドと組み合わせることで、高さ・スペース共に非常にスマートなモニターとして運用することができる。
タブレット スタンド 折り畳み Pewesv iPadスタンド 4-13インチ スマホとタブレット兼用 携帯スタンド アル...
ただし、下から支えるタイプのスマホスタンドとなるとアップグレード用USBとHDMI OUTを潰すので注意。
1/4インチネジ穴も干渉することが多い
当然1/4インチネジ穴があるので卓上三脚を使用することもできるが、三脚の種類によっては高さが出てしまうのと脚を広げるため余計なスペースも取られる。
僕はなるべく高さを抑えたいから卓上三脚を使わずスマホスタンドを使うパターンを紹介した。ただそれに伴うHDMI OUTの干渉は非常に大きな問題と感じる人もいると思う。
今回使っているGITZOのミニ三脚のプレートも僕が所有している中では比較的小さいプレートだがHDMI OUTと干渉してケーブルが刺せなくなってしまった。
HDMI側の端子も小さくて定評があるADTECHNO製のAHS-010Mなので、HDMI側・三脚側ともに比較的コンパクトな機材を選択しても干渉してしまうのが大きな問題だ。
あくまでHDMI OUTが干渉しているだけなので、HDMI INは干渉することなく使用可能だがHDMI OUTを使う予定の人は注意が必要だ。
VESA用のネジ穴が浅い気がする
LILLIPUT A11本体背面にはVESA75マウント用のネジ穴が空いている。
ただし卓上のVESAマウント用スタンドを取り付けようとした際、ネジがしっかり中まで入らず途中で浮いてしまった。
もしかしたらネジ穴自体が浅い可能性がある。VESAマウントで運用予定の場合は注意が必要だ。
今なおLILLIPUT A11の最適な固定方法を模索している段階だ。
低いスタンドはSDIケーブルに負荷がかかる
SDIケーブルを常用している人なら分かると思うが、ロック機構がある関係上少し長さを必要とする。
入出力端子が底面にある関係上、卓上設置の場合各種端末の干渉を考慮する必要がある。
モニター自体の重さもケーブルに伝わり折れ曲がってしまう。
ケーブルの折り曲げ耐性は決して高くないので負荷を与えないにこしたことはない。その場合L字のケーブルを使うかL字の変換アダプターを噛ませるのが良いだろう。
変換コネクタに関しては3G-SDIに対応していない可能性もあるので購入前にしっかり確認した方がいい。
僕が購入したのはこのケーブルと変換コネクタだが、どちらも3G-SDIはしていた。
L字に折り曲げることでケーブルを背面に流すことができるので正面から見たときもスマートにすることができた。
クロスコンバートは不可能
もしこれができたら完璧だったがさすがに不可能だった。
クロスコンバートとはどういうことかというと、SDI入力→HDMI出力、HDMI入力→SDI出力といった具合だ。
入力ソースとは異なるソースに出力する機能だが、これはできなかった。入力ソースと同一のソースからしか出力ができない。
Blackmagic Design Videoassist 12 HDRはこのクロスコンバート機能があったが、2倍近い価格差があるためこの辺りは仕方ないだろう。
価格から見るとコスパは良い
色々と不便な点ばかりを挙げてしまったが、個人的には非常に満足している製品だ。
例えば同じ10.1インチ程度で3G-SDIに対応したモニターというとADTECHNOのSDIモニター CL1013SDIがある。
これはダイレクトショップで税込163,020円だ。スタンドが一体型になってるとはいえ約3倍の値段がする。
他にもFeelworld FW1018SPV1があるがこちらも1万円程高い。
スタンド一体型になっているため、ベット用意しなくて良いという所もあるが他にも色々機能があるようで重量が約810gとLILLIPUT A11よりも重くなる。
(使うスタンドを考慮すると同じ位の重さになるかもしれないが)
サイズや価格・重量などを考慮するととても満足度の高い製品なのは間違いない。
視野角も問題無く、実況アナウンサーからも見づらいといった話は上がらなかった。
実況・解説3名で2台のLILLIPUT A11を用意したが真正面から見えない場面でもしっかり映像を確認してもらうことができた。
コスパに優れた3G-SDI対応のモニターだ。
イベント会場ではSDIケーブルの使用頻度が非常に高くその分だけ変換器を持ち込むのも大変なので、安価な3G-SDIモニターを探している人にはおすすめのモニターだ。
LILLIPUT A11 10.1インチFHDモニター 1920*1200解像度 4K HDMI SDIサポート 320cd/m² 監督用モニター プロ...
コメントを残す