僕が請け負っている仕事の一つに「イベント中継」がある。
そんな中継業務には必須の機材であるのが「インカム」だ。
以前SYNCOさんからワイヤレスインカムXTALK X5を提供してもらいレビューしたことがある。
「提供してもらい」と聞こえは良いが、こちら側から「レビューをさせてくれ」と商品提供を強制させたと言った方が正しい。
そしてそれから約1年。SYNCO XTALK X5の後継機が登場している事をご存じだろうか。
それがSYNCO XTALK XPro5だ。
今回もSYNCOさんへ「レビューするからXTALK XProくれ!」と営業掛けたところ快諾してくれた。
旧モデルのXTALK X5とパーティを組んで合計8波での運用をおこなったのでXTALK XPro5のレビューをしていこうと思う。
製品提供を受けているがレビューに関しては中立的立場で正直にレビューしていきたいと思っている。
目次
SYNCO XTALK XPro5動画レビュー
SYNCO XTALK XPro5の特徴

XTALK XPro5の特徴とXTALK X5から進化した点を紹介・比較していく。
XTALK X5 | XTALK XPro5 | |
---|---|---|
最大接続人数 | 13人 | 13人 |
実売価格 | 75,999円 | 83,999円 |
連続動作時間 | 最大24時間 | 最大24時間 |
最大通信範囲 | 350m | 500m |
使用周波数 | 2.4Ghz | 2.4Ghz |
重量バッテリー込み | 188g | 194g |
特徴1 | ビルトインアンテナ | 外部アンテナ |
特徴2 | ノイズキャンセリングマイク | AIノイズキャンセリングマイク2.0 |
基本的な機能は前世代のXTALK X5を踏襲している。特に進化した点としては【最大通信範囲】と【進化したノイズキャンセリングマイク】だ。
後述するがヘッドホンから出る音量にも改善があったような感覚はある。
そして当然の様に今回もマスターフリー機能とリアルタイムモニタリング機能は搭載している。
これらの機能はSYNCO XTALK X5の時に紹介しているので今回は割愛させてもらう。
なおより詳しいXtalk XとXtalk XProの比較をSYNCO公式が掲載しているのでSYNCO Xtalk Series比較ページにアクセスすると分かりやすいだろう。このページでは更に上位機種のXtalk XMaxも比較対象としている。
SYNCO XTALK XPro5の詳細

XTALK X5との比較をしながらXTALK XPro5の詳細を見ていきたいと思う。
もちろんSYNCO Xtalk XProシリーズは技適も得ており、日本国内においても心配無く使用可能だ。
SYNCO XTALK XPro5の同梱物

まず外観からだが、XTALK XPro5もしっかりしたキャリーバッグに収納されている。
XTALK X5の時に比べるといくらかコンパクトになりつつ、丸みを帯びたデザインで全体的に硬めの素材を使われていて、保護性能は上がっているように思える。
キャリーバッグがコンパクトになったことは良いことだが、そのぶん収納がシビアになっておりしっかり位置を考え収納しないとファスナーを閉めるのに難儀する。
SYNCO XTALK XPro5の付属品はXTALK X5からほぼ変化無く
- 親機x1
- 子機x4
- USB-A to Cケーブルx3
- 充電器x3
- バッテリーx5
- ワランティカード
- イヤーフォームクッション
- ナンバリングステッカー
必要最低限のものが同梱されている。予備バッテリーは付属していないので気を付けて欲しい。
とはいえ付属のバッテリーで最大24時間保つので予備バッテリーははっきり言って必要無いだろう。
SYNCO XTALK XPro5 親機の詳細

まずはSYNCO XTALK XPro5 親機の詳細を見ていく。XTALK X5の時と同様に各インカムは専用のポーチに包まれている。相変わらずこのポーチの質感は柔らかくて非常に良い。
ただこれも前回同様だが、ポーチ自体はペラペラでクッション性はないので衝撃から保護できるというわけではないので注意が必要だ。

XTALK X5の親機から外観の違いで言うと、アンテナが外部に出ていることとマイクのストロークが長くなったことだろう。
マイクのストロークが長くなったことでより口に近い位置で喋れる様になったし、マイクオフしたときに頭に引っかかる感覚は低減されている。

XTALK X5とXTALK XPro5の親機の重量はそれぞれ188gと194gだ。外部アンテナを搭載したが重量は6g増だけで済んでいる。持った感覚はほぼ同じと言える。
SYNCO XTALK XPro5 子機の詳細

基本的にSYNCO XTALK X5もそうだが子機と親機に外観的な違いはほぼ無い。ステッカーが赤いものが親機、青いモノが子機という程度の区別だ。
子機に関してもXTALK X5とアンテナ・マイク以外の違いはほぼないと言える。
SYNCO XTALK XPro5 悪いところ
今回XTALK XPro5は旧モデルのXTALK X5と組み合わせて合計7人でパーティーを組んで使用した。
今回使用した会場は群馬県高崎市にある高崎アリーナと言うそこそこ広いホールだ。
会場自体は広いが各々オペレーターの距離は半径30m以内におさまっている状況だった。

通信距離の正確なレビューはできないがそこそこ騒がしい会場だったためマイク性能の違いは感じられたと思う。
ソフトウェアアップデートに苦戦した
【公式アップデート方法の動画】
まず前提としてSYNCO XTALK XPro5を単体で5人のパーティで使う場合は起動してすぐ使うことが出来る。
この接続の簡単さは今回も健在だ。
しかし今回はSYNCO XTALK X5と組み合わせて合計7人でパーティーを組む必要があった。そのためにSYNCO XTALK X5及びSYNCO XTALK XPro5のソフトウェアをアップデート(変更)する必要がある。
このアップデート作業が一筋縄ではいかなかった。
デフォルトでは5波接続用のソフトウェアがインストールされている。
ただし今回の様に6波以上接続したい場合はXTALK X5はX9用のファームウェア、XTALK XPro5はXTALK XPro9用のファームウェアをインストールする必要がある。
このX9/XPro9のファームウェアをインストールするのが非常に苦戦した。
同様に苦戦している人がもしいればファームウェアアップデート方法を記載するので参考になればと思う。
XTALK XPro5のインストール方法
まずSYNCO XTALK XPro5にデフォルトでインストールされているXPro5のファームウェアをXPro9に変更する方法だ。この方法は比較的簡単なので躓くことは無いだろう。
なおファームウェアアップデートに必要なソフトウェアEasyGoは現時点でWindowsにしか対応押していないので注意が必要だ。
EasyGo含めXtalkシリーズの各ファームウェアはこちらのページからダウンロード可能だ。
XProに関してはPCに接続が完了したらすぐにファームウェアインストールができる場合がある。
アップデート方法が煩雑なため改善されたらしい。EasyGoのインストールボタンが押せない場合は下記の手順を試してほしい。
- EasyGoをインストール・起動しインストールするソフトウェアを選択しておく
- ヘッドセットを起動する
- ヘッドセットとPCをUSBで接続する
- ヘッドセットの「+」と「-」ボタンを同時に長押しする
- ヘッドセットからビープ音が聞こえたら「+」→「-」の順番にボタンを放す
- EasyGoの【インストール】ボタンをクリック
→ここでヘッドセットを認識しない場合はヘッドセット側のUSB-Cの向きを逆にして再度接続してみて欲しい。
XTALK X5のインストール方法
僕の場合XPro5からXPro9へのファームウェアアップデートはスムーズに行った。
最も躓いたのがXTALK X5からX9へのファームウェアアップデートだ。
まず、ユーザーマニュアルに書いてあるアップデート方法は下記になる。
- EasyGoをインストール・起動しインストールするソフトウェアを選択しておく
- ヘッドセットを起動する
- ヘッドセットとPCをUSBで接続する
- ヘッドセットの「+」と「-」ボタンを同時に長押しする
- 「ピピ」→「ピー」という音が聞こえたら「+」→「-」の順番にボタンを放す
- EasyGoの【インストール】ボタンをクリック
→ここでヘッドセットを認識しない場合はヘッドセット側のUSB-Cの向きを逆にして再度接続してみて欲しい。
この方法で僕が躓いたのは、ヘッドセットから1回目のビープ音が鳴った後「+」と「-」ボタンを離すと勘違いしたところだ。
「ピピ」というビープ音が鳴った後も「+」と「-」ボタンは押し続けて、2回目のビープ音が鳴るまで押し続ける必要がある。
2回目のビープ音が鳴ったのを確認したあとに「+」→「-」とボタンを放す手順となる。
ビープは第1段階に「ピピ」第2段階に「ピー」または「ピピ」と鳴る2段階仕様なので注意して欲しい。
5波以上接続する時の仕様

これはXTALK Xシリーズを5波以上接続する際に注意して欲しい点だ。
XTALK Xシリーズの接続に関する仕様はレイヤー(レベル)によって階層が分かれている。
親機は4台の子機を接続可能だ。そしてその子機は2台の子機(孫機)と接続が可能だ。これをSYNCOは「レベル」という概念で階層分けしている。
他社製の2.4Ghzワイヤレスインカムがどの様なシステムで5波以上のパーティーを組む仕組みを採用しているか分からないがこの接続方法はやや特殊な印象だ。
この接続方法の問題点は、レベル1のマイクがバッテリー切れなど何らかのトラブルで親機との接続が切れた場合、そこに紐付けられているレベル2のマイクも自動的に接続が切られてしまうことだ。
親機とレベル2のマイクは直接接続することができず、レベル1のマイクが中継器の役割を果たすため、中継器が死んだらかなりマズい形になるだろう。

幸い僕の使用環境では何も問題が起こらなかったが、この接続仕様はいかがなモノだろうか…?という懸念を抱かざるを得ない。
(この方法でも大丈夫という自信の現れなのかもしれないが)
自分の声の返しは相変わらず無い

これはXTALK X5の時も言及したのだが、自分の声の返しをヘッドセットから聞くことはできない。
これに関しては賛否両論あるようで今のところ実装は考えていないという回答をXTALK X5の時にもらっている。
その結果として今回のXTALK XPro5でも返しは実装されていないのだろう。
インカムの定番Clear-Camでは自分の声がヘッドセットに返される。Clear-Camを今まで使っていた身としては、可能であれば自分の声の返しを実現して欲しいところだ。
ただ、5波で10万円を切った価格帯のワイヤレスインカムにそれを求めること自体間違っている気もする。
SYNCO XTALK XPro5の良いところ

SYNCO XTALK XPro5はX5と比べると正常進化という形で機能に関して不満点はほぼ無いと言える。
そんななかでもSYNCO XTALK X5から進化して「これは良くなった」という部分を紹介する。
マイク性能は明らかに向上している

SYNCO XTALK XPro5の売りの一つでもある「AEC Technology 2.0 for Clean and Clear Communication」。
新しいノイズキャンセリングマイクは明らかに声を聞き取りやすくしている。
また、マイク自体のストロークが長くなっているため旧世代のXTALK X5よりも口元に近づけるようになったことも起因しているだろう。
口元に近い位置で喋ることができるようになり、尚且つマイク性能も上がっているため以前よりも小声で相手とコミュニケーションを取ることが出来る。
ヘッドセットの音量も大きくなった

これはマイク性能の恩恵なんか判断が難しいところだが、感覚値としてSYNCO XTALK X5に比べて相手の音声が聞き取りやすくなった感じがする。
もちろんXTALK XPro5のマイク性能自体の向上もあると思うが、今回の環境ではXTALK X5も組み合わせて使用している。
XTALK X5を装着した人間からの音声もハッキリと聞き取ることができていた印象だ。
このことから恐らくマイク性能だけでなくヘッドセットの音自体にもなにかしらの改良が入っていると思われる。
充電器がType-Cへ変更

これもSYNCO XTALK X5の時にインカム本体がType-Cなのになぜ充電器がマイクロUSBなんだと言及した。
これに関しては早々にType-Cへ仕様変更する旨を聞いていたので驚きは無かったが順当進化という事で良かった点だ。
バッテリーの保ちは相変わらず良い

今回の使用環境では7波接続で朝9時過ぎに電源をONにし、以降休憩無く19時頃まで使い続けた。
途中休憩を取る時間も無かったため本当の意味で常時接続しっぱなしの使用し続けた状態だ。
イベント終了後どの程度バッテリーが残っていたか検証はできないが、少なくとも10時間は全く問題なく連続使用することができた。
予備バッテリーが同梱されていない事を懸念する人がいるかもしれないが、基本的には公称値に近い時間連続使用できると思って問題無いだろう。
まとめ

SYNCO XTALK XPro5は前世代のSYNCO XTALK X5から順当に各性能を向上させている。
尚且つ、価格の上昇はわずか数千円だ。
セールのタイミングやクーポン発行のタイミングを狙えば、SYNCO XTALK X5と同じ75,999円で買えるタイミングがある。
SYNCO XTALK X5もセールのタイミングを合わせれば7万円を切る価格で購入することができるが、個人的には多少高くてもSYNCO XTALK XPro5をオススメする。
マイク性能やヘッドセット性能を考えると、コミュニケーションの取れ方が明らかにSYNCO XTALK XPro5の方が上だ。
旧モデルのXTALK X5では多少声が聞こえづらくてコミュニケーションが取れない部分もあるが、価格を考えると仕方ない。
コスパが良いからこれくらいだろう。というある種の妥協があった。
しかしSYNCO XTALK XPro5では全く問題無くコミュニケーションが取れる。
そしてそれが最安8万円以下だ。
性能面でも満足できるし、その上導入コストも非常に低い。
前機種XTALK X5を遥かに凌駕するコスパを実現していると言えるだろう。
もちろん「1.9Ghz帯のインカムと比べると遅延がある」だったり「もっと高いインカムは更に音が大きく聞こえやすい」と、比較をすれば劣っている機能はもちろん存在する。
しかしそうなってくると導入コストが文字通り桁が変わってくる話になる。
他社の2.4Ghzワイヤレスインカムを使用していないため一概に言えないが、今のところSYNCO XTALK XPro5は性能とコストが最もバランスノトレたワイヤレスインカムだと感じている。
導入を検討中の方はセールのタイミングを見計らって購入してもらうと良い。
きっと満足できる機材になると思う。
SYNCO Xtalk XProは国内技術基準適合証明等を受けた機器でしょうか?
コメントありがとうございます。
SYNCO Xtalk X シリーズ/XProシリーズ共に技適認証受けております。
中国企業なので信用出来ないかもしれませんが、総務省のHPにて下記の技適証明番号を入力し検索していただければ確認可能です。
Xtalk X series: 219-249044
Xtalk XPro series: 219-249480