【購入レビュー】Blackmagicdesign ATEM Mini 使用レビュー

2019年11月に販売が開始されたBlackmagickdesignのライブプロダクションスイッチャー ATEM Mini

発売直後から様々な販売店では在庫切れが続出している状態です。
僕は奇跡的に12月中旬に手に入れることが出来ました。

そして2019年12月15日(日)に行われたDEEP 93 IMPACT 及び2019年12月22日(日)に行われたDEEP JEWELS 27にてガッツリ仕事で使用しましたので使用感をレビューしていきたいと思っております。

更に僕が今現在所有している4HDMI入力対応のスイッチャー、Roland V-1HDとの比較もしていきたいと思います。
厳密にはV-1HDは単なるビデオスイッチャーでキャプチャー機能はありませんから単純な比較は出来ないのですが、スイッチャーとしての機能を比較していきたいと思います!

結構長いので目次で目的のモノだけを見に行く方がオススメです!

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2020年3月11日

この記事の目次(クリックでジャンプ)

ATEM Miniとは?

photo via blackmagicdesign

Blackmagickdesign社が2019年11月に販売を開始した、新しい低価格のライブプロダクションスイッチャーです。

YouTubeをはじめとした様々なライブストリーミングサービスを使用するコンシューマー向けに販売されているHDMIキャプチャーデバイス兼スイッチャーです。
YouTuberを始めとした映像関係者の間では、その高機能なスペック、更に衝撃的な価格で非常に話題になっている製品です。

ATEM Miniのスペック

映像接続 HDMIx4入力 /
HDMIx1出力 /
USB-C
オーディオ接続 3.5mmステレ
オミニジャックx2
ビデオ入力フォーマット 720p50,
720p59.94,
720p60,
1080p23.98,
1080p24,
1080p25,
1080p29.97,
1080p30,
1080p50,
1080p59.94,
1080p60,
1080i50,
1080i59.94,
1080i60
4K入出力 非対応
主なコントロール カットスイッチ /
Mixスイッチ /
PinP など
価格 ¥35,980 (税抜価格)

多種多様なビデオフォーマットに対応しつつ更にHDMI入力ソースを4つまで搭載しています。
しかもUSB Type-CでPCと接続すれば、即座にHDMI入力ソースの映像をWEBカメラとして認識してくれます。

外観

正面

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背面

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側面

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各種接続した状態

V-1HDとの比較

正面

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背面

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側面

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ATEM Miniは何が凄い?

このページにたどり着いている人であれば、ある程度のスペックは既に把握していると思います。
ですが改めてこのATEM Miniのスゴい所を上げていきたいと思います。

なんと言っても低価格

僕が現在所有しているスイッチャーはRoland V-1HDで今回のATEM Miniと同じ4つのHDMIソースを切り替えることが可能です。
ですが、価格が2倍〜2.5倍ほどの差があります。

僕がRoland V-1HDを購入したときは124,400(税込)でした。
ちなみにRoland V-1HDにはキャプチャー機能はありませんので、
別途BlackmagickdesignのUltraStudio HD Miniという1080p 60fpsまで対応のキャプチャーデバイスを購入しております。

ちなみにこのBlackmagickdesign UltraStudio HD Miniはメーカー公式HPでの価格表記56,980円(税抜)となっております。
これはSDI端子の出力とHDMIの出力を同時に行えるのでちょっと高いんですよね。

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対して、今回のBlackmagickdesign ATEM Miniの価格は35,980円 (税抜価格)
税込価格にしても40,000円でおつりが来ます。

僕が買ったデバイスはRoland V-1HDで124,400(税込)。
さらにBlackmagickdesign UltraStudio HD Miniで56,980円(税抜)。

僕のシステムを組もうとすると18万近くかかっていたモノが、
たったの35,980円 (税抜価格)です。

価格破壊が起きております。

HDMIソースが4つ

通常HDMIキャプチャーデバイスは1つのHDMIソースをPCに取り込むという機能がメインです。
それ以上にするとなると前項でもお伝えした様に10万円を超える投資が必要になります。

このBlackmagickdesign ATEM Miniはキャプチャーデバイス一つで、
スイッチャーを別途用意する必要が無く4つのHDMIソースを
PCに取り込むことが可能
なのです。

今まではあり得なかったことをBlackmagickdesign社はやらかしたのです。
(もしかしたら他社製品で類似品があるかもしれません。)

キャプチャーデバイス一体型

上記二つの時点で革命的な製品なのですが、
そこに更にHDMIキャプチャーデバイスとしての機能も備えているのが驚愕なのです。

先ほども記載しましたが、僕が使用しているHDMIキャプチャーデバイスは
Blackmagickdesign UltraStudio HD Mini
です。
こちらの新品価格は56,980円(税抜)。

しかも取り扱える映像ソースは1080p 60fps(59.94fps)となっており
機能自体はほぼ遜色ありません。
(厳密にはUltraStudio HD Miniは取り込んだ映像をSDI/HDMIの2ソース同時出力を備えている分高機能ですが)

この時点でキャプチャーデバイス1つ分以下の値段でスイッチャー機能も備えた
ATEM Miniがどれだけコストパフォーマンスに優れた製品かおわかりいただけたかと思います

多彩なエフェクト

movie via Blackmagickdesign

ATEM Mini本体一つでキレイなクロスディゾルブ、PinP、フェードトゥブラック、など筐体にワンタッチで操作できるボタンが配置されています。

製品筐体自体は非常にシンプルな作りになっていますが
直感的に本体を操作することが可能です。

筐体からコントロール出来る項目は必要最小限になっており、ボタンも非常に簡素化されていますが
PCにUSB Type-Cで接続することによってATEM Software Controlで更に細かい機能を設定することも出来ます。

V-1HDが優れている点

4つのHDMIソースをスイッチング出来る専用の機材Roland V-1HDBlackmagickdesign ATEM Miniのスイッチャーとしての機能。
価格差がある製品ですが、この二つの比較をしていきたいと思います。

また、この項目ではBlackmagickdesign ATEM Miniにキャプチャーデバイスとしての機能が付随していることは一旦除外して【単純な4HDMIソーススイッチャーとしての機能の差】を考えた時の感想を個人的に好き勝手言います。

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4分割プレビューアウトがある

Roland V-1HDもBlackmagickdesign ATEM Miniもどちらも4つのHDMIソースを処理することが出来るのですが、
V-1HDは4つのHDMIソースを、4分割のプレビュー出力することが可能です。

4つのカメラの映像を一つのモニターですべて確認することができるのです。
僕は総合格闘技の生配信を行う都合上、1つのモニターで全てのカメラからの映像を確認する必要があります。

格闘技は角度によって見やすい映像、見にくい映像が大きく分かれますから、
その都度その都度最適なカメラアングルを視聴者に配信する必要があります。

そのためには1つのモニターで全てのHDMIソースを4分割でのプレビューは必須機能となります。

Blackmagickdesign ATEM Miniには残念ながらプログラムアウトしか搭載されていません。

本体にTバーが装備されている

V-1HDには様々なエフェクトの強弱やクロスディゾルブの操作に、本体に搭載されているTバーを使うことが出来ます。
このTバー、実はMixでの画面切り替え時に非常に便利です。

自分の好きなタイミングでスムーズなクロスディゾルブの操作をおこなうことができます。

Blackmagickdesign ATEM MiniにもMixで切り替えは出来るのですが、
本体で切り替えるには0.5秒/1.0秒/1.5秒/2秒の4つのタイミングからしか選べません。
(ATEM Software Controlを使えば更に細かい設定が可能)

地味に0.5秒刻みしかワンタッチで行えないのは不便だと感じました。

スプリットエフェクト搭載

Blackmagickdesign ATEM Miniは画面の切り替えエフェクトは様々なものを搭載しています。
しかし、エフェクトの数で言うとRoland V-1HDの方が沢山あります。

いくつか例を挙げると

  • 1/3サイズのPinP
  • 1/4サイズのPinP
  • 左右のスプリット表示
  • 上下のスプリット表示

などがあります。
スプリット表示は今までで1度だけ使った事があります。
普段はほぼ使わないです。

PinPは非常によく使う機能です。
Blackmagickdesign ATEM MiniもPinPは行えるのですが、本体で操作できるのはウィンドウを左右上下の四隅に配置するだけになります。

Roland V-1HDは本体だけで、PinPのウィンドウポジションを自由自在に配置する事が出来ます。
意外とPinPの位置を変えられるのはとても助かります。

Blackmagickdesign ATEM MiniもATEM Software Controlを介さないで本体だけで設定出来たら良いのですが…。

オーディオのレベル、ディレイを本体で操作可能

Roland V-1HDはHDMIのプレビューアウトにモニターを繋ぐことで4分割のプレビューを閲覧できる他に、様々なコントロールが表示されそれを本体で操作することができます。

各HDMI入力ソースからの音量の上下、オーディオのディレイなどが主に使う内容になります。

これを本体だけ完結できるのは非常に大きいです。
(正確にはモニターに繋ぐ必要があるけど。)

ATEM Miniが優れている点

やはりスイッチャーとして製品を開発されたRoland V-1HDの方がスイッチャー機能を見ると優れている点も多いです。
ですが、ATEM MiniにもV-1HDに負けない部分がいくつかあります。

クロマキーのエッジがキレイ

【画像をクリックで拡大】

Roland V-1HDもATEM Miniもどちらもクロマキー機能はあるのですが、
【精度】で言うとATEM Miniの方が上のように感じます。

Roland V-1HDのクロマキーはどうしてもエッジに緑の線が出てしまいます。
これは製品の仕様上仕方ないことで、若干設定をいじりエッジの修正を出来るのですが、どうやってもエッジを無くすことが出来ません。

その点ATEM Miniはクロマキーのエッジ設定バックグラウンド設定、さらにフォアグラウンド設定の3つをイジることができ
これらをそれぞれ最適な値に設定することにより、完全に緑のエッジを消すことが出来ます。

僕は総合格闘技のライブ配信をする際に、選手紹介テロップやタイムコードテロップを表示するのに
クロマキーを使いますので、この緑のエッジを設定出来るのが非常に助かります。

Roland V-1HDのクロマキーで出てくる緑のエッジも許容範囲内と言えばそうなのですが
ATEM Miniはほぼ完全に消すことが出来ます。

任意の静止画を送れる

photo via Blackmagickdesign

Roland V-1HDはブラックアウト/ホワイトアウトを操作するつまみがあります。
しかし、任意の静止画をワンタッチで表示する機能は実装されていません。
(最新のソフトウェアでV-1SDIだと対応しているのかも?)

しかしATEM MiniはPCに接続してATEM Software Controlを使う事で、任意の静止画を送る事ができ、本体のStilボタンを押すだけでその静止画を送る事が出来ます。

総合格闘技のライブ配信では時折【フタ】と呼ばれる映像を一旦遮断する必要が出る時があります。
これはカメラのバッテリーチェンジ、試合間の休憩時など様々な場面で活躍してくれます。

また、TVの生放送でもあるような【不適切な映像が流れました】とか【少々お待ちください】とか?
緊急の避難としても常に用意しておくことが出来ます。

本体が小さい

これはメリットなのか、優れている点なのか微妙ですが、Roland V-1HDに比べてATEM Miniは本体サイズが非常に小さいです。

搭載しているハードウェアがそもそも異なりますし、Tバーとかも無いので当然小型化出来るのですが、この小ささは持ち運びにも優れています。
また、本体が微妙に手前に向かって傾斜しているのでボタンの操作もしやすくなっています。

Roland V-1HDは完全な立方体で傾斜は一切無いので、操作性という面ではATEM Miniの方が上だと感じました。

ATEM Miniの悪い所

良い所ばかり言ってても、見ている方の参考にならないと思うので、悪い所・気になる所もお伝えしておこうと思います。
逆説的にRoland V-1HDに搭載されててATEM Miniに搭載されていない機能が悪い所ではありますが…。

プレビューアウトが無い

これは先の項目でも述べましたが、ATEM Miniはプレビューアウトが無く、一つあるHDMI出力ポートはプログラムアウトになります。

クロマキー合成をする際に、合成するものは間違っていないか?
最適なカメラアングルに切り替えるためにはどのカメラにスイッチした方が良いか?

というようなことはATEM Miniでは出来ません。
地味にプレビューアウトが無いのは残念な点です。

といっても、普通の人がYouTubeライブをやったり、セミナーのプレゼンテーションをしたりする時には困ることはないと思います。

Tバーが無い

分かってて買っただろう?と言われてしまえばそれまでですが、
細かい機動性を重視するとTバーは搭載されてた方が色々と使い勝手は良いです。

無いなら無いで、機械的に常に一定のキレイなクロスディゾルブが出来るので問題無いのですが、
間違ってクロスディゾルブをかけた後、すぐに戻さなければならない状況になった時Tバーだとすぐ元に戻せます。

ボタン操作によるソフトウェア制御では一旦切り替わりが完了してからもう一度戻す。
という操作になるので若干使い勝手が良くないかなぁ。と感じました。

電源ON/OFFがない

これは気になる点というか、製品的に大丈夫なの?
という感じですが、ATEM Miniの電源を切るには

①コンセントを引っこ抜く
②本体から電源ケーブルを一個抜く

この二つのどちらかになります。
Roland V-1HDは電源ON/OFFボタンが付いてるのですが、ATEM Miniはそれがついていないので
電源供給からぶった切る必要があります。

大丈夫だとは思いますが、なんとなく不安です…汗

4K非対応

これは人によっては気になる所だと思います。
対応ビデオフォーマットは1080p 60fpsまでで4Kには対応しておりません。

僕の場合、4K配信をすることは無いのであまり気になりませんが。

AC電源が必須

スイッチャーとして求めるのであればAC電源は必須であることは仕方ない事ですが
キャプチャーデバイスとして考えると、USBに接続するだけで電源が供給されるタイプの方が取り回しは良いです。

僕が使っているUltraStudio HD MiniはMacとThunderbolt3接続をするだけで電源供給されます。
つまり別途電源を用意する必要が無いと言うことです。

たまに僕は屋外でライブ配信をすることがあるので
電源が必須となってしまうとちょっと困ることがあるかな。という感じです。

まぁスイッチャーも兼ねてるので仕方ないですが。

総合的な印象

全体的に製品自体には満足しております。
僕の場合完全なスイッチャーとしてRoland V-1HDを併用していますので
ATEM Miniにスイッチャーとしての機能が足りなくても、さほど問題にならないことが多いというのもあるかもしれません。

どんな人にオススメ?

これからライブ配信を行っていきたい全ての人にオススメです。
シンプルな筐体、PCにUSB接続するだけですぐにウェブカムとして認識されるシンプルなUI
放送業界の名を馳せているBlackmagickdesign社が作ったという安心感

Blackmagickdesign社のアフターサポートは非常に手厚く
カスタマーサポートのエンジニアも製品を言うだけでほとんど事に答えてくれます。

買い?

ほとんどの人に買いだと思います。

ただしどうしても4K配信が必要という人だったり、
キャプチャーデバイスに電源供給は絶対にしたくないと言う人は
他のキャプチャーデバイスを選んだ方が良いかと思います。

補足

ライブ配信するだけならスマートフォンでいいし、最近ではPCにウェブカムもついてるから
それでやれば良いんじゃないの?
って思う人もいると思います。

確かにそうです。

ですが
『出来るだけ高画質で配信したい』
『出来るだけ高音質で配信したい』
『プレゼンテーションなどをスマートに配信したい』

と言うような人はやはりこういったキャプチャーデバイスは持っておく必要があると思います。

まぁ、趣味で買うには高すぎますけど…。

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