HDMI接続によって1080p 60fpsまでの映像をワイヤレスに伝送できるHollyland Mars 300が2019年末辺りに販売が開始されました。
僕は各種イベントでカメラからの映像をSDIケーブルやHDMIケーブルで50メートル・60メートルと伝送する機会があり毎回毎回ケーブルの取り回しが正直面倒というのがあって、こういった製品を待ちわびていました。
また、治療家・整体師の技術セミナーでは三脚ワークでの撮影にプラスして、技術をデモンストレーションで披露するときには、手持ちでかなりのワークが必要になるためケーブルの煩わしさが毎回不自由に感じておりました。
HDMIをワイヤレス化できたらなぁ。
そんな僕にぴったりの用途として販売されたのがこのHollyland Mars 300です。
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目次
Hollyland Mars 300とは?
【公式販売店】Hollyland MARS 300 PRO 無線映像伝送システム HDMI LOOPOUT付き 屋外利用可能 DFS付きの技...
【Mars 300の特徴】
- 【安定した同期伝送】
Mars 300は5GHzを採用し、優れた高速データ伝送能力で信号が安定でき、5G無線伝送技術を使用されています。伝送レイテンシー<10ミリ秒で、オーディオ及びビデオ信号は接続している他のデバイスで再生を実現することができます。 - 【1080p 60Hzサポート】
最新のイメージデコード技術とノイズ低減技術を採用し、5Gワイヤレス伝送技術を使用しており、1080p 60Hzの高精細信号をサポートします。放送レベルや高精細なビデオ及びオーディオを提供することができます。 - 【幅広いカメラ互換性】
送信機及び受信機は何れもデュアルHDMIポートが設置されており、オーディオとビデオ信号を入力・出力でき、ほぼあらゆるタイプの一眼レフカメラとミラーレスカメラに対応できます。 - 【100メートルの伝送距離】
有効伝送範囲で、Mars 300は最良の接続効果を実現できますが、伝送の限界は只今100mではありません。送信・受信、両方とも2つのアンテナが配備され、150mの最大伝送距離で信号とデータを送信することができます。 - 【コンパクトで軽量なデザイン】
重さ186g、厚さ22mmで超持ちやすくて様々な場合に適応しています。ポケットに入れるほどの利便性でございます。GimbleやDSLR、またはミラーレスカメラに装着する場合、その他に重いデバイスを持つ必要がありません。
5Gの技術を転用している
詳しいことは分かりませんが、5Gの無線伝送技術を使用しているということなので【低遅延】【高精細】【広範囲】を実現出来ているようです。
遅延は10ミリ秒以下という事を謳っているのですが、実際にどれくらいのフレーム遅延するのか?これは実際に僕の方で検証していきたいと思います。
また、こういったHDMI映像伝送システムは業務用がほとんどで、その多くが非常に高価な価格で市場に出回っています。
そう考えるとこのHollyland Mars 300は非常に安価で手に入れる事が出来ます。
(とはいってもそこそこの値段はします。)
代替製品は?
僕は治療家・整体師の技術セミナーを生配信する際、前々からカメラワークする時HDMIケーブルの煩わしさを感じていました。
セミナー会場後部で三脚にカメラを構えていて、会場前部でデモが始まるとそのままカメラを持って前に移動する必要があります。
そうなると短くて10メートル、会場によっては20メートル、30メートルの長さのHDMIケーブルが必要になります。
以前からこのHDMIケーブルをワイヤレス化できないか?
ということを考えていました。そこで色々調べて見つけたのはIDX CW-1Sです。
photo via SYSTEM5.jp
このIDX CW-1Sは価格が¥119,900(税込)となっており、やはり業務用で非常に高価です。(2022年9月現在販売終了)
また、最大伝送距離は【妨害するノイズや障害物が無い、晴れの屋外で見通しが良い環境において30メートル】ということで、実用範囲内だと10メートル〜15メートルくらいかと感じておりました。
レンタルするにしても¥15,000/日〜¥18,000/日となっており、気軽にレンタル出来るものでもありません。
そんな迷っている最中、このHollyland Mars 300という製品を見つけ、速攻でポチりました。
Hollyland Mars 300の外観
送信機と受信機の違いは側面のHDMI端子のIN/OUTだけです。それ以外はほぼ同じ作りになっています。
受信機側だけHDMI OUTが2つ搭載されているので複数モニターに出力が可能です。
ズバリ良い所悪い所
治療家のセミナー配信での使用、格闘技のライブ配信での使用と数回使ってみましたので、その上での感想をお伝えしていきたいと思います。
治療家の技術セミナーではメインカメラの映像を転送しましたが、格闘技のライブではディレクターズモニターに映像を飛ばすために使用しました。
それぞれ若干用途が違いますので、カメラからの映像を伝送したときと、モニター映像を別のモニターに伝送したとき、それぞれの使い方で感じた内容をお伝えしていきたいと思います。
悪い所
まずはそれぞれの用途で使っていて感じた内容をいくつか挙げていきたいと思います。
機器の用途に当てはまる内容と、僕個人の使い方で気になった所それぞれの観点でお伝えしていきたいと思います。
バッテリー残量がわからない
DCアダプターは1つしか同梱されていないので、受信機か送信機どちらかは絶対にバッテリーで稼働する必要があります。
(基本はカメラ側に設置する送信機だと思いますが。)
僕はNP-F970バッテリーしか持っていませんのでそれを接続するのですが、使用中にバッテリーの残量が確認出来ないのは非常に残念です。
技術セミナーでは、3時間も4時間も休憩無しでやり続けるということはないので、休憩のタイミングでバッテリーを変えれば良いのですが、格闘技のライブ配信では長いと6時間くらいぶっ続けになる可能性もあります。
そうなると、適切なタイミングでバッテリーを変えたい所ですが、「50%切ってきたからそろそろ交換しよう」というバッテリー残量主体でこっちが行動出来ないのでそこが若干不便に感じます。
まぁ、バッテリー残量まで確認したいのであれば後継機のMars 400を買えば良いんではないか?という話にもなってしまうんですよね。
安いんだけど高い
業務用のワイヤレスHDMI伝送機器としては非常に安価なのですが、やはり一般用途にしては若干値段が高いなぁ。と感じます。
僕が購入した時は、発売直後に近かったので比較的安く購入することが出来ました。
楽天市場 MOMAN JAPANさんでの購入で¥42,490でした。(現在は販売終了)
執筆時点では値段が上がりだいたいどこのストアでも¥60,000前後となっております。
それでも楽天市場 MOMAN JAPANさんは若干安くて税込¥57,500円でした。(2020年4月1日現在)
楽天市場 MOMAN JAPANさんはポイントアップキャンペーンも時々やるので、ポイントが8,000ポイントくらいつくこともあります。
実質¥50,000位で購入できるので、Amazonよりかは楽天市場 MOMAN JAPANさんの方が良いと思います。
若干ファンの音が気になる
受信機の方はモニター側に繋がったり、スイッチャー側に繋がるのでファンの音が鳴ってても問題無いのですが、送信機側はカメラに取り付ける事が多いのでファンの音をマイクが拾ってしまう可能性があります。
僕が使ったやり方だと、ガンマイクの後方十数センチの所に送信機を取り付けましたが、ファンの音を拾ってうるさくなるということはありませんでした。
ファンの音を拾ってしまう可能性があるので、できる限りマイクから離れた位置に取り付ける努力をしたというのもありますが、ホットシューの位置とマイクの位置に制限があるカメラの場合はちょっと扱いが難しいかもしれません。
やっぱり遅延は気になる
やはりワイヤレスの特性上若干の遅延は発生してしまいます。
メインカメラ1つに接続してそれだけを配信に乗せる治療家の技術セミナーではさほど問題にならないのですが、問題は格闘技のライブ配信です。
格闘技のライブ配信では、有線のHDMIで接続しているカメラもあるのですがそれに比べるとワイヤレスの遅延は若干気になる様な印象です。
常に同じ時系列で流れている映像をスイッチングしないといけない格闘技のライブ配信では、この遅延は若干困った事になります。
ということで、現時点では解説席に出力する映像をそのままディレクターズモニターに伝送するために使用するという形で、時系列がズレても大丈夫な用途でしか使っておりません。
2020/04/14追記
遅延はカメラ撮影の時間から0.2秒ほどの遅れがあります。
送信機側のLoopアウトと受信機側のHDMIアウトはほぼ遅延なく送信出来ている事から、カメラからのHDMIアウトの遅延にほんの少し遅延が追加された程度でほぼ実用範囲内と考えられます。
拡張パーツが1個だけ
Mars 300をコールドシューに接続するために【拡張パーツ】を本体に接続して【ホットシュー接続ネジ】みたいなやつを付ける必要があります。
通常の用途だとカメラ側に接続する送信機だけにそれがあれば良いのですが、受信機の方も三脚に繋げたいとなった時受信機底面にしか三脚ネジが切ってないので汎用性が若干低いかなと感じました。
筐体背面にも本体に直接三脚穴が切ってあるともっと便利に接続することができますね。
良い所
色々気になる所が多いような印象ですが、実際に使ってみるとちゃんと良い所も数多くあります。
僕個人の用途で感じた良い所を今度は挙げていきたいと思います。
基本的に映像は安定している
格闘技の配信時に、配信基地からディレクター席までおよそ10m〜15mの距離を伝送していましたが、全く問題無く映像をディレクターに送る事が出来ました。
色味も崩れること無く、映像が途中で乱れる事も無く、ヒドく気になる程の遅延も無く伝送できたので、ディレクターとの連携も問題無く行えました。
バッテリーが結構保つ
イベントの開始から終了まで、およそ4時間ほど映像を伝送し続けましたがバッテリーは切れること無く動作し続けてくれました。
悪い所でバッテリーが残量がわからないとお伝えしましたが、実際にどの程度バッテリーが持続するのかをテストしてみたところ、6時間くらいは保つことが確認出来たので、このとき4時間ほどディレクターモニターに映像を送るのは全く不安なくおこなうことが出来ました。
実際にどのくらいバッテリーが保つのか?
純正のNP-F970バッテリーを使用しての耐久試験も行ってみました。
条件としては、
- GH5Sから1,080p 60fpsを送信機に出力
- 送信機のHDMI Loopoutから外部モニターへ同時出力
となります。
基本的にカメラ側の送信機がバッテリー駆動になることが多いと思いますので、送信機側のバッテリー持続耐久テストを行いたいと思います。
また、条件としてはなるべく負荷をかけた状態で行いたいので、HDMI LoopOutからの出力も同時に行いました。
LoopOutをおこなうことでよりバッテリー消費の早い状態を作る事が出来ると思いますのでこの条件下で行いました。
2020/04/14追記
ビックリする位バッテリーの持ちが良いです…。僕の環境下で10時間連続使用できました
バッテリーは満充電で行いましたが、購入時期が去年の年末のバッテリーも混じっているので若干へたりはあるかもしれません。
ただ、皆さんがお使いになる場合の目安にはなるかと思いますので参考にしてみてください。
本体は意外と軽い
バッテリーが大容量になればなるほど当然重くなってしまうのですが、バッテリーを繋げていない状態の製品自体は予想よりも軽いなと感じました。
結局バッテリーが大容量になれば重いのですが、これくらいの重量であればリグとかにつけてもどうにか運用出来るレベルだなと思いました。
若干体積は大きいような印象なので、場所は取るのですが、重量的に考えると体力はなんとか保つかなと思います。
総評
さて、色々良い所悪い所をお伝えしてきました。
実際に買って使ってみてどうだったのか?
メッチャ良い
生放送においてはやっぱり安定性と信頼性が重視されるので有線接続になってしまう事が多いのですが、このHollyland Mars 300でも信頼性に欠けるということは一切ありません。
今まで僕の用途の中で映像が乱れたことはありませんし、正常に接続出来なかった、接続されなかったということは一切ありません。
逆に、50mのHDMIケーブルの方がたまに写ったり写らなかったりするので、信頼性という観点であれば長尺のHDMIケーブルよりもHollyland Mars 300の方が良いのかもしれません。
また、やはり長尺のHDMIケーブルは重量も結構ありますし荷物としても大きいです。
SDIケーブルだったとしても、100mともなったらかなりの重量と大きさです。
それがこのHollyland Mars 300だけで100m分のケーブルをまかなえるとなると非常に便利で、できる限りHollyland Mars 300を使おう!という気持ちになります。
またケーブルの煩わしさから完全に解放されるので、手持ちでカメラワークをするのも全く苦になりません。
僕みたいに手持ちで動き回りながら、その映像をHDMI出力したいという業務の方は必須の機材と言っても過言ではありません。
あまりにもHollyland Mars 300のできが良いので、バッテリー残量を液晶で確認出来るMars 400も購入しようかと思ったくらいです。
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